研究概要 |
サルコイドーシスは地域特異的に患者が発生することが知られ、日本におけるサルコイドーシスは欧米と異なり肺サルコイドーシス患者が多い。また、肺サルコイドーシス患者の肺胞洗浄液(BALF)中にCD4+T細胞が著明に増加する事はよく知られている。しかしながら、いまだ本症の原因は不明である。 申請者らはCD11b+T細胞,CD28+T細胞は臓器特異的分布することを明らかにした。この研究の過程に、肺サルコイドーシス患者の肺胞洗浄液(BALA)中のT細胞は膜表面抗原CD3,CD11b,CD28抗原が著明に減少している事を見いだした(J. Immunol.,151,2237-2246,1993)。このBALF中のT細胞はmRNAレベルでT helper type1(Th1)タイプ主体のサイトカインを強く発現していた。(米国胸部学会の招待シンポジウムにて、平成5年5月サンフランシスコにて発表)。そして、肺サルコイドーシス患者の病変部(BALF、眼房水)から樹立したT細胞クローンはIL-4意外のTh1タイプ主体の様々なサイトカインを未刺激下で多量に産生する事をクローンレベルで証明した。一方、患者病変部の肺胞マクロファージはCD28抗原のリガンドのB7(CD80),B70(CD86)抗原をHLA-DR抗原とともに強く発現していた。それ故、病変部の活性化T細胞が産生するサイトカインがサルコイドーシスの病因と関与し、このサイトカイン産生はCD28抗原とリガンドのB7(CD80),B70(CD86)抗原を介する副シグナル(second signal)によって増強されていることが示唆された(Clin. Exp. Immunol.,102,399-406,1995)。よって、本研究は当初の目的(肺サルコイドーシス症の分子免疫学的解析)の成果を達成したと考える。
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