研究概要 |
〔目的〕小児期発症側頭葉てんかん患者のうち、てんかん外科治療の第一の適応である内側硬化群をその他の群から非侵襲的かつ簡便に弁別するために10%電極法の有用性、基礎律動の相違およびポジトロンCT(PET)のブドウ糖代謝量との関連について検討する。〔対象〕片側側頭葉焦点を有する側頭葉てんかん患者で、MRIで内側硬化病変を認める(MTS群)12例と病変を認めない(非MTS群)12例を対象とした。〔方法〕1.10-20法に10%電極法の側頭部電極を加えて脳波を記録し、突発波の振幅および先行部位について計測した。2.突発波の混入しない基礎律動の脳電位分布を作成した。周波数帯域はDelta 1(2.0-2.8Hz), Delta2(3.0-3.8Hz), Theta 1(4.0-1.8Hz), Theta 2(5.0-5.8Hz), Theta 3(6.0-7.8Hz), Alpha(8.0-12.8Hz)とした。3.PETは^<18>F-フルオロデオキシグルコースを用い、セミコロナル画像を映像し、前頭葉、側頭葉、基底核、小脳のブドウ糖代謝量を算出した。〔結果〕1.MTS群では10%電極法の電極で最大振幅または先行部位を示す突発波が多く、非MTS群では10-20法の電極で最大振幅を示し、先行部位を認めない突発波が多かった。2.非MTS群では焦点側側頭部のDelta 1, Delta 2, Theta 1が有意に増加し、MTS群では焦点側側頭部のAlphaが有意に減少していた。3.MTS群の側頭葉および前頭葉のブドウ糖代謝量は焦点側で低く、前頭葉および側頭葉のブドウ糖代謝量と前頭部のDelta 1, Delta 2の脳電位とは負の相関を示し、側頭葉のブドウ糖代謝量と後側頭・後頭部のTheta 3の脳電位とは正の相関を示した。〔結論〕1.MTS群と非MTS群では突発波の分布が異なり、MTS群では10%電極法が有用であった。2.非MTS群では焦点側の徐波の増加を認め、MTS群ではα波の減少を認め、基礎律動に相違が認められた。3.側頭葉てんかんで認められるPET上のブドウ糖低代謝域は基礎律動の異常を反映していることが示唆された。
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