研究課題/領域番号 |
06670652
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
下濱 俊 京都大学, 医学部, 助手 (60235687)
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研究分担者 |
藤本 貞毅 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (80090182)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / リン酸化 / プロテインホスファターゼ / 酸性ホスファターゼ / 低分子量 / EGF レセプター / チロシン / 脱リン酸 |
研究概要 |
Alzheimer病(AD)脳ではチロシン残基の異常なリン酸化が指摘されている。酸性ホスファターゼ(AcP)のうち、低分子量AcPにリン酸化されたチロシン残基を脱リン酸する作用があることが報告されている。本研究では、AD脳におけるチロシン残基の異常なリン酸化機構における低分子量AcPの役割について検討した。Sephadex G-100カラムゲルクロマトグラフィーを用いてAcPを分離溶出すると、ヒト脳には高分子量と低分子量のAcPが存在していた。AD群では対照群に比べ低分子量AcP活性が有意に低下していた。高分子量AcP活性は対照群とAD群間で有意な差は認められなかった。ウシ脳より低分子量酸性ホスファターゼを分子量約17kDaの活性を有するタンパクとして精製した。これを抗原に作製した特異抗体により、低分子量AcPがニューロンの細胞質および神経突起部に局在していることを確認した。ラット脳組織にこの低分子量AcPを作用させることにより、この低分子量AcPが分子量約170kDaタンパクのリン酸化されたチロシン残基を脱リン酸することが明らかとなった。また、EGF receptorに対する特異抗体を用いた免疫化学的検討により、この分子量約170kDaタンパクが、EGF receptorであることが示唆された。今回の検討で、ヒト脳組織の細胞質分画に分子量の異なるAcPが存在し、AD脳においては低分子量AcP活性が対照脳に比べ有意に低下していることが示された。この低分子量Acpがチロシン残基を脱リン酸する脳内基質が分子量約170kDaのタンパクであり、EGF receptorそのものである可能性が示された。低分子量AcPは、EGF receptorのリン酸化状態の調節を介してEGF-EGF receptor coupling signal transduction機構に重要な働きをしている可能性が示唆された。
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