研究概要 |
1)肺循環系における血管作動性物質の作用と代謝およびparacrine様物質の産生 麻酔イヌの摘出肺葉を定流量拍動回流灌流装置に装着.各種血管作動性物質の肺血管に対する作用と代謝,薬物投与により生じる灌流液中の生理活性物質の変動を検索した.5HT,PGF2aの肺内代謝を確認した.Paracrine様物質の検索ではIでcAMPが増加,PdでPGE2が増加,PpではcAMPの減少があり,薬物に対する肺からの生理活性物質が血中に放出されることが確認された. 2)血管作動性薬物の肺循環を介する他臓器paracrine作用の検討 肺循環に対する薬物投与の体循環系、特に冠動脈へのparacrine作用の有無を,麻酔イヌの結構動態と冠血流変化から観察した.当該薬物が肺内で代謝されることが望ましいと考えたため,肺内代謝率の良い5HTの静脈内・左心室・大動脈内投与を比較した.5HTの肺循環での代謝は確認できたが,静脈内投与と左心系内投与とに有意な差は検出できなかった.肺循環の他臓器に対するparacrine作用については,局在作用と他臓器関連作用のさらなる分離検討が必要と考えられた. 3)肺循環障害性急性循環不全の薬物治療とその作用機作についての検討 肺循環障害による循環不全の治療について,血管作動性薬物の関連から,血行動態,左右心室機能,冠循環を含めて検討した.イヌ肺塞栓肺高血圧ショックモデルに対しし,肺血管拡張作用を有する強心薬のIsoproterenol投与よでは,一過性の血行動態の改善ののち動物は死亡し、血管収縮性のNorepinephrine投与では血行動態は持続的に改善した.冠循環と左室機能と改善を後者で確認した。薬物の単離された薬効に加え,複合的効果と心肺相互連関を含めた検討の重要性が示唆された.
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