研究課題/領域番号 |
06670695
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
世古 義則 東京大学, 医学部(病), 助手 (30240708)
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研究分担者 |
戸辺 一之 東京大学, 医学部(病), 助手 (30251242)
永井 良三 東京大学, 医学部(病), 助教授 (60207975)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1994年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 心筋虚血再灌流障害 / 接着分子 / 血管内皮細胞 / 心筋細胞 / 細胞内情報伝達 |
研究概要 |
1.(1)selectin familyの接着分子のligandである糖鎖のsialyl-Lewis^x(SLEX)の心筋虚血再灌流障害における役割を解析するため、ラットの左冠動脈を30分間結紮後解除することにより心筋虚血再灌流モデルを作成し、心筋組織におけるSLEXの発現を観察したところ、心筋細胞・血管内皮細胞で発現の誘導が認められた。また、抗SLEX抗体を(2mg/kg)虚血直前に静注して48時間後に屠殺。心筋壊死量を、マウスIgMを投与したコントロール群と比較検討したところ、全心筋組織に対する心筋壊死巣の割合は、コントロール群で35.97±5.44%(mean±SD,n=8)であったのに対し、抗SLEX抗体投与群では、13.61±5.33%(n=8)であり、有意(p<0.001)の減少が認められた。(2)in vitroで培養ラット心筋細胞・血管内皮細胞におけるSLEXの発現は、刺激前にはほとんど認めなかったが、低酸素負荷後再酸素化刺激により著明な発現の増強を認めた。以上の結果から、心筋虚血再灌流により比較的短時間のうちに心筋細胞や血管内皮細胞上に発現誘導されるSLEXは、好中球によるselectinを介する接着・心筋障害に重要な役割を果していると考えられ、抗SLEX抗体のin vivo投与は虚血再灌流障害の予防に有効であると考えられた。現在、合成SLEX分子の心筋虚血再灌流障害に対する効果を検討中であり、すでに有効性を確認している。 2.心筋虚血再灌流障害のin vitroのモデルとして、ラットの培養心筋細胞に低酸素負荷および低酸素負荷後再酸素化刺激を行ない、細胞内情報伝達系の賦活化を解析した。すでに明らかにした_p21^<fes>に始まりMAPキナーゼやS6キナーゼのリン酸化に至る経路の上流で、Src familyのtyrosineキナーゼやP13キナーゼの活性化を認めた。さらに、細胞外基質と細胞との接着に関するtyrosineキナーゼであるFAKやpaxillinの活性化も認められた。以上より、これらの一連のキナーゼ・カスケードの活性化は細胞膜直下で始まっている可能性が示唆された。
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