研究課題/領域番号 |
06670731
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
吉松 博信 大分医科大学, 医学部, 助手 (00166993)
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研究分担者 |
坂田 利家 大分医科大学, 医学部, 教授 (50037420)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1995年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 高血圧 / 糖尿病 / Zucker obese rat / 高インスリン血症 / インスリン抵抗性 / TNF-α / ヒスチジンデカリポキシラーゼ / 視床下部ヒスタミン / 神経ヒスタミン / 視床下部 / 交感神経 / 肥満症 / HPLC |
研究概要 |
肥満症や糖尿病に合併する高血圧症において、インスリン抵抗性およびそれにもとづく高インスリン血症が高血圧発症の成因として注目されている。その発症機序は明らかでなく、交感神経系、腎臓、血管系へのインスリン作用、さらには昇圧物質や血管の動脈硬化性変化を介した作用などが想定されている。今回、高血圧とインスリン抵抗性の発症に、脳機能がどのように関連してくるかを明らかにする目的で、脳内ヒスタミン神経機能を中心にその病態生理を解析した。結果.1)STZ糖尿病ラットでは神経ヒスタミンの活性が低下している。その要因として、高血糖によるエネルギーの過剰産生、体重減少に伴って脂肪組織でのob gene発現が低下するため、それに伴うレプチンのヒスタミン賦活化作用が減少することなどが考えられる。インスリンの欠乏自体はヒスタミン神経系に影響しない結果が得られている。2)ヒスタミン神経系へのインスリン作用は低血糖を介して発揮される。インスリンの急性脳内投与は神経ヒスタミンに影響しない。3)肥満動物モデルであるZucker肥満ラットでは高インスリン血症とヒスタミン神経系の機能低下がみられる。その要因としては、レプチン受容体異常のために、レプチンのヒスタミン賦活化作用が脱落すると考えられる。4)インスリン抵抗性発症因子であるTNF-αはヒスタミン神経系に作働しない。5)神経ヒスタミンは脂肪組織の脂肪分解を中枢性に亢進するよう制御している。このためヒスタミン神経系の機能不全は脂肪組織レベルでも肥満発症を助長する。6)神経ヒスタミンはインスリン分泌を抑制する。神経ヒスタミンの脂肪分解作用は、インスリンによる脂肪合成作用を脂肪組織レベルで阻害する。加えて、神経ヒスタミンはインスリン分泌を抑制するので、インスリンの脂肪合成作用を、二重に阻害する結果を生む。7)インスリンの脳内急性投与では副腎交感神経活動に影響がなく、血圧変動も生じない。一方、神経ヒスタミンには血圧上昇作用があり、交感神経系とCRH-ACTH系の両者を介在していることが考えられる。以上のように、ヒスタミン神経系は肥満症における代謝動態に密接に関連してその活性が変化する。つまり、脂肪分解作用を介して脂肪の蓄積を抑え、一方でインスリンの過分泌を抑制している。これらの神経ヒスタミン作用は最終的にインスリン抵抗性の改善をもたらす。神経ヒスタミンには血圧上昇作用があるが、インスリン自体は、この神経ヒスタミンの活性化に直接的な影響はなく、急性効果としての血圧制御作用も薄い。しかし、インスリン抵抗性をきたすにいたった脂肪組織では、ob geneの発現とレプチンの分泌能は増加しているので、それらが二次的に神経ヒスタミンおよび関連ペビチドであるCRHの分泌を亢進させ、高血圧などの心血管反応を引き起こす調節系も考えられる。
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