研究課題/領域番号 |
06670746
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
西川 俊郎 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (50120019)
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研究分担者 |
石原 和明 岩手医科大学, 医学部, 講師 (30119888)
安藤 明子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90232090)
増田 昭博 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60209434)
笠島 武 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30045653)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1994年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 肥大心筋 / 形質転換 / 細胞骨格 / 間質細胞 / 免疫組織学 / 分子生物学 |
研究概要 |
本研究では、乳幼児および成人の種々の心疾患ならびに実験動物心における肥大心筋の形態学的変化、デスミンなどの細胞骨格の変化について光顕、電顕、免疫組織化学および分子生物学的手法を用いて検討を行なった。さらに心筋間質の細胞の形質転換の有無すなわち細胞変容がおこるか否かについても検討を行なった。その結果、乳幼児、小児の拡張型心筋症では、残存心筋の肥大、配列の乱れとともに、電顕的には筋原線維の粗しょう化、ミトコンドリアの増加、大小不同、変形、などの所見のほか、粗面小胞体の増加、ゴルジ装置の増生など蛋白合成能増加を示唆する所見を認めた。一方、右室圧負荷のかかるファロ-四徴症の右室心筋では、筋原線維の粗しょう化は余り目立たず、むしろ充実性増生をみるが、ミトコンドリアの増加、粗面小胞体の増加、ゴルジ装置の増生などやはり蛋白合成能増加を示唆する所見を認めた。さらに拡張型心筋症の心筋細胞内のデスミンの分布を免疫組織化学およびin situ hybridization法により検討した結果、デスミンは正常心筋では介在板およびZ帯に規則正しく染色されたが、心筋症の心筋細胞では、不規則に強い染色性を示した。免疫電顕による検討では、心筋症でのデスミンは増殖したミトコンドリアの間隙に強い陽性反応を示した。さらに心筋症の心筋におけるナトリウム利尿ホルモンの発現とデスミンの変化を比較したところ、デスミンが正常の配列を呈している心筋細胞ではナトリウム利尿ホルモンの発現がまったくみられなかったが、ナトリウム利尿ホルモンの発現がみられる心筋細胞では、デスミンの著しい配列異常がみられた。in situ hybridizationによる検討では、デスミンのmRNAレベルは比較的均一で、細胞間で明らかな差は認められなかった。また、肺動脈拘扼を行なって右室負荷を与えたラット心室心筋では、ナトリウム利尿ホルモンおよび骨格筋アクチンのmRNAの発現とともに、これと同期してデスミンmRNAの右室自由壁心筋細胞における特異的発現亢進をみた。さらに心筋間質細胞の形質転換について検討すると、拡張型心筋症、拡張相肥大型心筋症、急性および陳旧性心筋梗塞、心室拡張を示す先天性心疾患の心筋間質に平滑筋アクチン陽性の紡錘形細胞を認め、この細胞は非筋型ミオシン重鎖アイソザイム胎児型が陽性であった。電顕像からこの間質細胞は筋線維芽細胞であることが推測され、形質転換を呈していることが示唆された。以上の結果から、乳幼児および成人心疾患における肥大心筋は、種々の程度の形態学的変化ならびに形質転換を示し、さらに間質細胞も変容を示すことが示唆された。
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