研究概要 |
1)C9欠損症患者の8家系のリンパ球よりmRNAを分離し、Northern blotを施工した。2名の患者ではC9mRNAが認められなかった。残りの6名の患者のC9mRNAはサイズ,メッセージ量共に異常は見られなかった。 2)C9欠損症患者のgenomic DNAを精製し、Southern blotを施工した。Bam H1,Ecor R1,Pst 1,Taq 1切断後にC9cDNAにてハイブリダイズしたが、C9mRNAの認められなかった2名の患者を含め、Southern blot上に異常なバンドの出現は見られなかった。 3)C9mRNAの見られない2名の患者のC9genomic DNAのエクソン部分をPCRにて増幅し、DNA解析を行った。両名ともに血族結婚の家系であり、第4エクソンに隣接部分のイントロンのGTT------CAGがTTT------CAGに変異していることが判明した。その結果C9mRNAの合成時に本来スプライスされる第5イントロンのDNA部分がスプラいすされずに読み取られ、ストップコドンが形成される事が明らかとなった。 4)6家系の患者DNAをエクソン毎にPCR法にて増幅し、SSCP法にて増幅したDNAを検索したところ、第7エクソン上のコドン360のGGGがGAGに変異していることが判明した。蛋白レベルでは第7エクソンは膜貫通部位であり、塩基配列から推定されるアミノ酸の変異はグリシンからグルタミンであることが推定された。変異部位を含む正常オリゴDNAと変異部位を含む異常オリゴDNAにて患者の両親のDNAを検索したところ、両親とも正常および同じ変異を有するヘテロ接合体(保因者)であることが明らかとなった。
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