研究概要 |
研究目的:パルボウイルスB19による胎内感染で、胎児が貧血を起こし、1)死亡する場合、2)胎児水腫を起こす場合、3)貧血が持続し発育遅延を起こす場合、4)回復して正常に出生する場合があることをみてきた。今回、3)の状態の結果として生まれる未熟児が、未熟児の中に占める割合を知り、さらに胎児感染とIgGサブクラス(G1,2,3,4)との関連の有無を検討することを目的とした。 材料と方法:福岡市内で、1991〜93年に生まれた低出生体重児37例(双生児3組)とその母体10例につき臍帯血と母血清を材料とした。感染の証拠として、B19IgGとIgM抗体および、ゲノムDNAを検索した。抗体は酵素抗体法で、その抗原はバキュロウイスルにおけるVP1+VP2組み替え蛋白を用いた。ゲノムDNA検索は、プロテインキナーゼ;フェノール法で抽出したDNAをPCR増幅法でおこなった。プライマーは9組を使用した。IgGサブクラス定量は、バインディングサイトのEIAキットを利用した。 結果:1.抗体とDNAの検出は下表の通りであった。 2.IgGサブクラスは日本人の測定範囲にあったがG3は低値であった。 考察:臍帯血の検索から、未熟児に占めるB19感染が希ではないことを示した。2組で母血清と臍帯血の抗体とDNAに不一致があり、その根本的な理由について今後検討を要する。
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