研究課題/領域番号 |
06670808
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松本 正 長崎大学, 医学部, 講師 (70190535)
|
研究分担者 |
新川 詔夫 長崎大学, 医学部, 教授 (00111170)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | EMG症候群 / ゲノム刷り込み現象 / IGF2 / H19 / 過成長症候群 |
研究概要 |
過成長症候群のうちBeckwith-wiedermann症候群(BWS)6例、片側肥大症候群(HHS)1例、Simpson-Golabi-Behmel症候群(SGB)1例、Sotos症候群2例の計10例においてインスリン様成長因子II(IGF-II)、H19のゲノム刷り込み現象を検討した。ゲノム刷り込み現象の有無の判定のためには患者においてゲノムDNAで多型が検出されることが必要である。IGF-II遺伝子では患者のうち、BWSの2例、SGBの1例、HHSの1例がApal制限酵素断片長多型(RFLP)に関してヘテロ接合であった。これらのヘテロ接合体によりRT-PCRにてcDNAを増幅後Apal消化を行ったところ、BWSの2例、SGBの1例はヘテロ接合であり、HHSの1例はヘミ接合であった。即ち、前3者はIGF-IIの刷り込みは解除されており(loss of imprinting: LOI)、後者では正常者と同様に刷り込みは維持されていた。またBWS患者の両親のうちゲノムDNAでヘテロ接合であった例(28-41才)では刷り込み現象は維持されていた。以上よりIGF-IIは(1)正常者では少なくとも40才頃まではゲノム刷り込み現象が維持されてること、(2)BWS患児ではLOIの状態にあり、このことが本症の病態の大きな要因と考えられることが明かとなった。BWSの1例は横紋筋肉種と腎細胞癌を併発していた。In situ hybridizationでは前者では母親由来11p15染色体欠失とIGF-IIの過剰発現を認めたが、後者ではLOIが存在するにもかかわらず殆ど発現を認めなかった。このことは(3)IGF-IIの発現には組織特異性があること、(4)本来IGF-IIが発現する組織や母親由来11p15欠失が生じた組織では腫瘍発生に関与する可能性があるが、そうでない組織では腫瘍発生には直接関与しないと考えられる。更にSGBでLOIを認めたことは興味深く、(5)過成長症候群の中にはIGF-IIのLOIが関与するものがある可能性、(6)SGBはX染色体連鎖性と考えられているがX染色体上の本症の原因遺伝子は常染色体のゲノム刷り込み機構に関連する可能性がある。 II19のゲノムDNA多型では、奇妙なことに検討した全例でAlul、IIhaIのRFLPに関してホモ接合であり、有用な情報は得られなかった。更に他の症例で検討中である。
|