研究課題/領域番号 |
06670829
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
児玉 浩子 帝京大学, 医学部, 助教授 (00093386)
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研究分担者 |
仲本 なつ恵 帝京大学, 医学部, 助手 (20256043)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | Menkes病 / 遺伝子解析 / 銅代謝 / 銅転送ATPase / 保因者診断 / 胎内診断 |
研究概要 |
メンケス病はX染色体劣性遺伝形式の先天性銅代謝異常症である。本症患者細胞は銅を蓄積する病態を示し、その病因はcopper transporting ATPase(メンケス蛋白)をコードする遺伝子の異常およびこの蛋白の欠損とされている。私たちは本邦のメンケス病患者の皮膚線維芽細胞またはEB形質転換リンパ球を用いて、その生化学的、免疫酵素学的検討および遺伝子解析を行なった。通常培地および銅添加培地で培養した細胞の銅濃度は5症例のメンケス病患者細胞ではそれぞれ123、170ng/mg蛋白であり、正常対照の29、53に比べ著明に高値であった。メンケス病患者の母の細胞の銅濃度は95、119ng/mg蛋白とメンケス病患者と正常の中間値を示し、銅濃度測定でも保因者診断が可能であると結論が出来た。次に患者細胞でのメンケス蛋白の存在の有無を検討した。方法は細胞溶液をSDS電気泳動し、ウェスタンブロット法でゲル上の蛋白を膜に転写し、メンケス蛋白に対するポリクローナル抗体を用いてメンケス蛋白を検出した。その結果正常ヒト細胞では200kDaの位置にメンケス蛋白と思われる蛋白のバンドが検出されたが、メンケス病患者細胞ではいずれの症例もこのバンドは検出されなかった。このことより、本症患者細胞ではメンケス蛋白が欠損しているといえた。しかし保因者であるメンケス病患者母親の細胞ではメンケス蛋白は検出された。したがってメンケス蛋白の免疫学的方法で本症患者の診断は可能であるが、保因者の診断は出来ないと考えられた。遺伝子解析は、今回ノーザンブロット法で検討した。メンケス遺伝子のmRNAは正常細胞では検出されたが、メンケス病患者細胞では検討したすべての症例で検出されなかった。すなわち本症患者細胞ではメンケス遺伝子は発現しておらず、メンケス蛋白も合成されていないと判断できた。今後本症患者でのメンケス遺伝子の欠失や点変異をサザンブロット法やPCR-SSCP法で検討し、遺伝子診断法を確立し、臨床に適用したいと考えている。
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