研究課題/領域番号 |
06670830
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
衛藤 義勝 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50056909)
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研究分担者 |
長谷川 頼康 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60256435)
津田 隆 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50188554)
井田 博幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90167255)
大橋 十也 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60160595)
所 敏治 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40112841)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 異染性脳白質変性症 / アデノウイルス / レトロウイルス / オリゴデンドロサイト / サルファターゼ / 遺伝子治療 |
研究概要 |
異染性脳白質変性症(MLD)はリソゾーム酵素の1つであるArylsulfataseA(ASA)の欠損により、その基質であるSulfatideがおもにミエリンに蓄積し、その結果、著明な脱髄を引き起こす脳変性疾患である。本年度は、本症の遺伝子治療に関して検討を行った。MLDの主な罹患細胞であるオリゴデンドロサイトへの直接の遺伝子導入をめざし正常なASAを発現するアデノウイルスを作成した。組換えアデノウイルス(AdexlSRASA)はMLD患者より培養した培養皮膚線維芽細胞の酵素欠損を正常の2.3倍-5.2倍に矯正した。発現したASAは免疫沈降法、SDS-PAGEによる解析にても多量の蛋白として細胞内に存在しているのが判明した。また細胞分画法にても発現しているASAは正しくリソゾームに存在していた。またアデノウイルスはMLDの主な罹患臓器であるオリゴデンドロサイトに感染した。 最近1つの種類のサルファターゼを細胞に多量に発現させると、その他のリソゾーム酵素およびサルファターゼの活性が低下するとの報告があった。我々もASAに関して同様の検討を行った。ASAを多量発現する培養線維芽細胞は以前作成したASAを発現するレトロウイルスをMLD患者細胞に数回感染させることによって得た。結果としていくつかのサルアターゼの活性低下が認められた。ただそれらの酵素活性低下によるムコ多糖の細胞における蓄積が起こらなかった。 今後、アデノウイルスに関してはクリア-しなければならない問題の1つは投与ルートの問題である。現在、我々は血液-脳関門をひろげ髄注により脳内にウイルスを到達させる方法を検討中である。次に多量発現の問題であるが確かにある種のサルファターゼは活性が低下するようであるがムコ多糖の代謝を障害するほどではなかった。よって遺伝子治療に関しては問題ないと思われるので骨髄細胞を標的とした遺伝子導入を行う予定である。
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