研究概要 |
接触アレルギーの発症においてヒトランゲルハンス細胞(LC)のcostimulatory moleculeが重要な働きを果たすことを解析するためにヒトの正常皮膚を器官培養してCD80(B7-1),CD86(B7-2)がLCに発現することを確認した。また、このCD86抗原はハプテン刺激により強く発現することも証明した。トリプシン処理にて分離した表皮細胞からLCを純化し、培養後CD86抗原及び CD86mRNAをLCが発現することをWestern-Blotting methodにて70 Kdのバンドとして,RT-PCR法では833bpとして確認した。次に、接触アレルギー病変部におけるLCのcostimulatory moleculeの発現レベルを解析するために免疫組織化学的に正常皮膚、接触アレルギー病変部、アトピー性皮膚炎病変部、乾癬病変部のCD80,CD86の発現を検討したところ正常皮膚ではCD80,CD86共に認めず接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬ではLCのCD86がCD80より有意に強く発現していた。接触アレルギーの病変部では7症例の29%である2症例しかCD80を発現しないが57%である4症例でCD86が発現していた。このことは、これらの病変部ではCD86が重要な働きをすることを示唆する。 また、機能の点でもMLR,抗原特異的Tリンパ球増殖試験でもCD86が主に働いていることが示唆された。マウスの接触アレルギーの実験系でもランゲルハンス細胞のCD80,CD86共に機能するがCD86の方が重要な役割を果たすことを報告しており(1995年日本免疫学会総会学術集会記録:片山一朗他)、アレルギー性接触皮膚炎では、ハプテン刺激、KCよりのサイトカインによって発現したcostimulatory molecule特にCD86がTリンパ球活性化に重要な役割を果たすことが示された。
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