研究課題/領域番号 |
06670856
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山本 綾子 新潟大学, 医学部, 助教授 (00200783)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 尋常性〓瘡 / 水分バリアー機能 / セラミド / スフィンゴシン / 面皰形成機序 / 尋常性症瘡 / 保水機能 / スフィンゴ脂質 |
研究概要 |
このたびの研究では、〓瘡患者の頬部において水分バリアー機能の低下とスフィンゴ脂質の減少を認めた。軽症群と対照群において皮脂分泌量の差はなかったが、水分バリアー機能は軽症群で低下していた。したがって〓瘡患者では、同年代の健常人比較して特に皮脂分泌量が高くなくても、毛包漏斗部の閉塞すなわち面皰形成が起こり得ると考えられる。Knutsonは、正常毛包と面皰の漏斗部を観察している。それによれば、初期面皰では、毛包漏斗の過角化が層板顆粒の減少に伴って認められる。角質細胞間のスフィンゴ脂質は、層板顆粒より由来し、水分バリアー機能を担っている。最近セラミドの合成は、年齢によって変化する可能性が示唆されており、〓瘡患者において、思春期では成人に比してセラミドが少ないことも予想される。水分バリアー機能の低下と過角化を伴う病態は、魚鱗癬、乾癬、アトピー性皮膚炎等ですでに報告されている。本研究は、直接毛包上皮について検討していないが、表皮角層において、アトピー性皮膚炎患者より強い水分バリアー機能の低下とセラミドの減少が認められた。そこで、Prokschらの説に従えば、毛包上皮の水分バリアー機能の低下が、上皮の増殖性変化を生じ、面皰を形成する機序が考えられる。また今回の〓瘡群では、スフィンゴシンの低下が見られた。角層のスフィンゴシンは、セラミドの水解によって生じると考えられる。最近スフィンゴシンは種々の生物活性を有することが明らかになりつつあり、なかでもPropionibacterium acnes (P.acnes)などの細菌の増殖を抑制する成績が示されている。そこで〓瘡患者は水分バリアー機能だけでなく、感染防御能の低下も併せ持つことも推測される。しかしスフィンゴシンとP.acnesの関係についてはさらに詳細な検討が必要と考えられる。今後研究を重ねる予定である。
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