研究概要 |
ユ-イング組織由来細胞をヌードマウスに移植し腫瘍を作成、Tl-201 11.1MBqを投与し経時的に血液および腫瘍の放射能の割合を測定した。血液の放射能は投与直後から10分までで急激に減少し,以後120分まで緩徐に減少し。一方,腫瘍の放射能は投与後10分までは急に上昇しその後は血中放射能より高値であった。担癌ヌードマウスにおけるTl-201の生体内分布をシスプラチン低濃度(1mg/kg)投与群,高濃度(5mg/kg)投与群および対照群の3群に分け検討した。Tl-201投与10分後での腫瘍への集積放射能は対照群で0.75%ID-g,高濃度シスプラチン投与群においては,治療後1,3,12日の各群で各々1.04,1.02,0.68であり,各群の間に有為な差を認めなかった。Tl-201投与30分での腫瘍への集積放射能は対照群で1.15,治療後1,3日群では各々1.11,1.31,12日群では0.70と有意に低下した。Tl-201は速やかに腫瘍組織に取り込まれることが明らかとなり、また、化学療法により未だ腫瘍体積の変化を認められない時期にTl-201の腫瘍集積性は有意に低下することが判明した。 骨軟部悪性腫瘍患者11例に化学療法治療前と治療後にTl-201シンチグラフィを施行し治療効果の判定を試みた。Tl-201を111MBq静脈注射し15分後に悪性病巣と対側の健常領域に関心領域を設定しTl-201の集積比を測定し検討した。化学療法はアドリアマイシン、シスプラチン、カフェインを動脈注射し行った。治療前と3ないし5ク-ルの治療後のTl-201の集積比の結果を解析し治療効果の判定について検討しているが、治療後にTl-201の腫瘍と健常部の集積比が減少しているものは治療効果が大きい傾向がみられている。とくに、完全寛解の症例に減少率が高いことが判明している。しかし、治療効果に関する最終的な病理的変化の確認されていない症例があり定量測定とその評価には時間を要する。一部の成績は論文掲載予定となっているが最終成績は別に発表を予定している。
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