研究課題/領域番号 |
06670993
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
西川 徹 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第3部, 部長 (00198441)
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研究分担者 |
高橋 勝宣 国立精神, 神経センター・神経研究所疾病研究第3部, 室長 (40183850)
三国 雅彦 群馬大学, 医学部・神経精神医学教室, 助教授 (00125353)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 精神分裂病(分裂病) / Methamphetamine / Phencyclidine / Haloperidol / c-fos遺伝子 / 生後発達 / 大脳新皮質 / RNA arbitrarily primed PCR / c-fos遺伝子発現 / 異常行動 / ラット / Cocaine / SCH23390 / GAP43遺伝子 |
研究概要 |
Phencyclidine(PCP)をはじめとするNMDA型興奮性アミノ酸受容体遮断薬が引き起こす分裂病様症状は、陽性症状とともに陰性症状を含み、抗精神病薬による治療効果は部分的にしか見られない。これに対して、amphetamine、methamphetamine(MAP)、コカインのようなdopamine(DA)作動薬が惹起する分裂病様症状は、主として抗精神病薬(DA受容体遮断薬)によく反応する陽性症状から成る。従って、これらの薬物投与後の神経活動異常の差異を調べることによって、従来のDA仮説では説明できない分裂病症状の発現機序や新しい治療法の手がかりが得られると考えられる。そこで本研究では、神経活動の変化を反映するc-fos遺伝子の発現を指標として、これらの分裂病様症状発現薬の脳に対する作用を比較検討した。また、分裂病が思春期以降に発症する分子機構を明らかにする目的で、PCPとMAPによるc-fos誘導の発達に伴う変化を調べた。PCPとMAPを投与したラットの脳に出現するc-Fos様免疫反応の分布の間には、大脳新皮質、線条体などを中心に著名な差異が認められた。PCP投与後のc-Fos陽性細胞の分布は、NMDA受容体の選択的遮断薬(MK-801)投与後と類似しており、代表的抗精神病薬であるhaloperidol(HAL)の前処理を行っても一部しか変化しなかった。一方、MAP処置群におけるc-Fos発現は、HALが著しく抑制した。さらに、PCPが誘導する脳のc-fos遺伝子の分布パターンは、生後発達に伴って著しく変化し、生後21〜25日頃に成熟期と区別できなくなった。MAP投与のパターンも顕著な生後変化を示し、各発達段階ではPCP投与時と著しい差があったが、成熟期のパターンになる時期は類似していた。以上の結果は、PCPは主としてNMDA受容体遮断作用により、MAPはDA伝達増加作用によって、抗精神病薬に対する反応性の異なる分裂病様症状を発現させることを支持している。また、抗精神病薬に抵抗性および反応性の症状は、それぞれ異なる神経回路の異常によって生ずるが、双方の回路はほぼ同時期に成熟する可能性が示唆された。さらに、c-Fos発現に反映される神経回路活動の発達や制御に関連する因子を明らかにすることによって分裂病の発症機構にアプローチするため、differential cloning法としてRNA arbitrarily primed PCR法を確立し、生後発達においてPCPやMAPに対する応答性が変化する遺伝子群の検索を始めた。
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