研究概要 |
レムナントの酸化変性の検討を行い、以下のような成果を得た。糖化変性については検討中である。1、目的:健常者、虚血性心疾患、糖尿病例のレムナント中過酸化脂質量、およびCuによる酸化されやすさを比較検討する。 2、方法:健常者、虚血性心疾患、糖尿病、各10例を対象として血清を得る。超遠心法により、VLDL分画(比重<1.006)を採取し、その一部は、モノクローナル坑アポB100および坑アポAl抗体のmixed gelを混合、その上清のレムナントを採取する。VLDL分画およびレムナント中の蛋白をLowry法にて定量する。VLDL分画およびレムナント中の過酸化脂質をTBA法にて定量し、蛋白1mg当たりの過酸化脂質を計算、両分画で比較する。VLDL分画およびレムナントに蛋白1mg当たり5μMCuSO4含有PBS1mlを混合し、酸化させた後、再びTBA法にて過酸化脂質を定量(TBA reactive substances,TBARS)し、酸化前後の過酸化脂質の比を計算し、酸化され易さの指標とする。両分画でこの指標を比較する。 3、成績:レムナントにおける過酸化脂質の測定:健常者、虚血性心疾患、糖尿病例共に、レムナントにおける単位蛋白あたりのTBARS量は、VLDLのTBARS量よりも有意に高値であった。 レムナントの酸化されやすさの検討:Cuイオンによる酸化前後の過酸化脂質(TBARS)量の比は、VLDLよりもレムナントの方が有意低値であった。また、酸化前のTBARSの高値例ほど、酸化前後のTBARS比が低値であった。 4、結果:レムナントにおける過酸化脂質量の高値が示された。また、VLDLに比較して、レムナントは生体内で酸化を受けやすいことが推定された。
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