研究概要 |
I型糖尿病の自己抗原の一つであるγ-アミノ酪酸(GABA)膜炭酸酵素(GAD)とそれにより生成されるGABAの膵島における生理機能を検討するために,薬物に対する反応性をGABAレベルを指標として中枢神経組織と膵島で比較し,またインスリン分泌刺激物質の膵島GADレベルへの影響を検討した。 (1).神経組織ではGADを抑制することが判明している3-mercaptopropionic acidのWistarラット腹腔内投与らは海馬,視床下部,上丘,線状体のみならず膵島内GABAを減少した. (2).神経組織ではGABA transaminase (GABA-T)を抑制することが判明しているsodium valproateのWistarラット腹腔内への投与は海馬,視床下部,上丘,線状体のみならず膵島においてもGABAを増加した。 2. in vitroにおける研究 (1). 3-mercaptopropionic acid及びsodium valproateはラット単離膵島のインキュベーション実験においてそれぞれ膵島内GABAを減少及び増加させて (2).単離膵島内GAD蛋白含量はインスリン分泌を刺激するが合成を刺激しないアルギニンにより影響されなかったが,インスリン合成を刺激するグルコースにより増加した。 以上の研究成果より,GABAの合成及び分網に関与する膵島内GAD+GABA-Tは薬物反応において神経組織におけるそれらを類似しており,また膵島においてはGADはインスリン合成に関与する可能性が示された。
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