1.LPS結合血漿成分の同定 健常人血漿中に含まれるLPS-Binding Proteinの同定は、FITC標識LPS(Sigma)と健常人血漿とを混合しこれを液体クロマトグラフィー(ゲル濾過およびイオン交換)によって精製した。分子量約55kDaの蛋白とLPSとの結合が示された。 2.LPS複合体の単球への結合能とCD14の役割 1.において得たLPS結合能を有する血漿成分の存在下におけるLPSの単球への結合をFITC-LPSを用いてFACScanにより解析した。健常人単球へのLPS/LBPの結合は抗CD14抗体、My4、で単球を前処置することによって阻害された。後天的にGlycosyl Phosphatidylinositol(GPI)結合型膜蛋白が欠損する疾患である発作性夜間血色素尿症(PNH)においてはCD14の欠損した異常単球にはLPSが弱くしか結合しなかった。以上の結果からCD14がLPS receptorとして重要な意義を有することが明らかとなった。 3.CD14を介した単球のサイトカイン産生能 1.において得られたLBSを用いて、LPS-LBP複合体による単球のサイトカイン産生を測定した。LPSを介した生体反応においては単球の産生するTNF-αが重要ではないかと推定されており、in vitroで単球を分離し、刺激下でのTNF-α産生およびCD14の関与を、抗CD14抗体処理健常人単球、PNH患者単球との間で比較した。健常人単球は抗CD14抗体で処理するとLPS依存性のTNF-α産生が低下した。また、PNH患者単球においては、健常人単球に比してTNF-α産生は低下しており、この低下は異常PNH単球比率に比例していた。 以上の結果から1)健常人血漿に含まれるLBPは効率的にLPSに結合し、単球に発現されるCD14のリガンドを形成する、2)CD14は単球に発現するLPS receptorの中でも単球に対する刺激伝達の面から最も重要なリセプターであることが示された。
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