研究概要 |
トロンボモジュリン(thrombomodulin,TM)遺伝子について、我々の研究の実験結果から、5′側上流域にプロモーター活性に重要な種々のエレメント(Sp1,CAATボックス)が存在して、実際に機能していることが明らかにした。今回、cAMP反応エレメント(cAMP responsive element,CRE)に対する3′非翻訳領域(3′UT)の役割を遺伝子レベルで検討した。 CAT(chloramphenicol acetyltransferase)遺伝子をレポーターとして、TM遺伝子のプロモーターを含むコンストラクトpTM-374CATにTM遺伝子の3′UTを挿入した。トランスフェクションはヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)にリポフェクチンによる方法で行った。CREを含むコンストラクトではcAMPの添加によりCAT活性の増加がみられ、CREを欠くコンストラクトでは反応はみられなかった。これらの結果から+2092にcAMP反応エレメントが存在し、cAMPの添加により転写の活性が増加することが確認された。また、ゲルシフトアッセイでは+2092を含む合成オリゴヌクレオチドを用いると、cAMPで処理した細胞から抽出した核蛋白が結合することが明らかになった。これらのことより3′非翻訳領域に存在するcAMP反応エレメントがTMの発現に重要であることが明らかになった。また、ポリA付加部位より下流の領域が負の転写活性を有することも明らかになった。
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