研究課題/領域番号 |
06671085
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
直江 知樹 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50217634)
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研究分担者 |
大林 包幸 名古屋大学, 医学部, 医員
北村 邦朗 名古屋大学, 医学部, 医員
市橋 卓司 名古屋大学, 医学部, 医員
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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キーワード | 残存腫瘍 / 急性リンパ性白血病 / 急性前骨髄球性白血病 |
研究概要 |
本研究ではこれまて進めてきたpreB-急性リンパ性白血病(ALL)細胞における免疫グロブリン超可変部領域の多様性を利用した残存白血病(MRD)の同定を引き続き行うとともに、急性前骨髄球性白血病(APL)におけるPML-RARAキメラ転写物の検出によるMRDの検出も行い、それぞれの臨床的意義について検討した。また後者においては、mRNAを検体とした場合と、DNAを検体としたゲノムPCR法の両者に於ける特異性、感度もあわせて検討した。 まず7例のALL症例において、腫瘍特異的CDR3シークエンスに基づき、腫瘍特異的プライマーまたはプローブを合成し、MRDの推移を、寛解導入療法後、地固め療法後、自己骨髄移植後の検体を用い半定量を行った(観察期間1〜4年)。いづれの症例でも、寛解導入療法直後の寛解時では、高々21og程度の殺細胞効果にとどまるが、その後の地固め療法によりMRD量は減少し、地固め療法の有用性を支持した。一方、自己骨髄移植におけるexvivo purgingでは1-21ogの減少に留まった。7例中4例にその後再発を認めたが、いづれの症例でも再発の2-7カ月前のMRD検索では陰性であった。このことは、ALLにおけるMRD検索は治療効果を反映するが、再発の予知は困難であることを意味する。 一方、APLにおけるRT-PCRによるAPL残存腫瘍の検出感度は10^<-5>であった。未治療例15例、再発・難治例12例について、残存腫瘍の検出を行った(観察期間8〜37カ月)。未治療例では寛解導入後も10^<-3>レベル以上の残存腫瘍が残るが、地固め・強化療法中にRT-PCRは陰性化し、治療終了時には15例中12例で陰性化した。しかし再発・難治例12例では9例が陽性のままであった。予後との関係をみると、治療終了時に陽性であった14例では全例寛解を維持しているが、陽性であった13例中10例は再発した。またゲノムPCRの方が検体の安定性は勝るが、特性・感度ともmRNAを検体としたRT-PCRの方が優れていた。APLではMRDと予後とが相関し、ALLの場合と異なる結果となったことは、各々の細胞特性によるものであろう。
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