研究概要 |
今回、いろいろな検体ソース(白血病細胞株の培養上清、再生不良性貧血患者尿、血小板減少家兎血しょう)より巨核芽球性白血病細胞株の分化を誘導する液性因子を精製した。スクリーニングとして(1)マウス巨核芽球性白血病細胞株L8057を用いたアセチルコリンエステラーゼ(AchE)発現法、(2)ヒト巨核芽球性白血病細胞株CMKを用いた糖蛋白(GP)llb/llla,lb発現法、(3)ヒト巨核芽球性白血病細胞株CMKを用いたS期導入率の測定、(4)マウス骨髄細胞のAchE発現法を用いた。種々の白血病細胞株の培養上清中には上記の4つのパラメータを用いて検討した結果、巨核芽球性白血病細胞株の分化を誘導する活性を見い出すことができなかったが、再生不良性貧血患者尿ならびに血小板減少家兎血しょう中には巨核芽球性白血病細胞株(CMK、L8057)を分化誘導する活性が認められた。上記の(1)、(2)、(3)のいずれかをもちいて精製を試みたものの、アッセイのたびに至適条件が異なるため、マウス骨髄細胞のAchE発現をもとに精製をすすめた。再生不良性貧血患者尿からの精製は材料量が少ないこともあって単一蛋白まで純化することはできなかった。が、血小板減少家兎血しょう中からは(1)硫安塩析55〜70%(2)WGLアフィニテイカラム(3)Blueセファロースカラム(4)Ni^<2+>カラム(5)(6)ゲルろ過カラムの6つのステップを用いて純度の高い物質が得られた。この物質は興味あることに成熟巨核球からの血小板産生を刺激することが判明した。現在この物質についてアミノ酸一次構造を決定しようとしている。
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