研究課題/領域番号 |
06671112
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
藤井 寿一 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (70107762)
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研究分担者 |
三輪 史郎 (財)冲中記念成人病研究所, 所長 (40034954)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 溶血性貧血 / 赤血球酵素異常症 / ピルビン酸キナーゼ異常症 / 変異酵素 / 構造異常 / ミスセンス変異 / スプライシング変異 / フレームシフト変異 |
研究概要 |
ピルビン酸キナーゼ(PK)異常症は解糖系酵素異常症のなかで最も頻度が高い疾患で、現在までにわれわれは76家系(米国白人1家族)発見している。血族結婚が認められる18家系のうち11家系、血縁関係の認められない58家系のうち16家系、他施設で発見された外国人3家系の計30家系について遺伝子解析を施行した。ホモ接合型PK異常症は解析した中で14家系あり、ミスセンス変異7種、スプライシング変異1種、フレームシフト変異1種が同定された。今年度新たに同定したホモ接合型PK異常症3家系は2家系が1261A(Q421K)変異、1家系が1276T(R426W)変異を有していた。1261A変異は今回の2家系を含め計5家系に同定され、ホモ接合型症例で最も頻度の高い変異である。1261A変異のホモ接合体5家系について、1705A/C塩基多型を調べたところ、C/Cのホモ接合体が3家系、A/Cのヘテロ接合体が2家系と一致していないことから、これらの変異は異なる起源と考えられる。PK Naniwaは家族歴で血縁関係が認められないが、両アリルに1276T変異が同定された。この変異によって、1277A変異のホモ接合体であるPK Sapporo(R426Q)と同じ426番目のArg残基に置換が生ずる。PK Naniwa、PK Sapporoの赤血球PKの酵素学的諸性質は基質親和性とアロステリック活性化の両方が障害される点で一致していた。PK Hoenzakaは小児期に著明な肝脾腫を指摘され、摘脾前には頻回の輸血を必要とした重症例で、酵素学的検索では赤血球PKはフルクトース-1,6-二リン酸による活性化が著しく障害されていた。本例は841A(D281N)、1698A(N566K)の複合ヘテロ接合体であることが明らかになった。841Aは保存的なアミノ酸の置換を生ずるのに対し、1698Aはサブユニット間結合に重要なCドメインにおいてペプチドの疎水性を増加させ、アロステリック活性化が障害されるものと考えられる。以上、今年度はPK異常症の構造異常と機能異常の関係を明らかにした。
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