研究課題/領域番号 |
06671119
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
赤尾 幸博 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (00222505)
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研究分担者 |
辻本 賀英 大阪大学, 医学部, 教授 (70132735)
大槻 勝紀 大阪医科大学, 医学部, 教授 (50140166)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 染色体転座 / 造血器腫瘍 / 染色体11q23 / RCK遺伝子 / MLL遺伝子 / 染色体第11番q23 / bcl-2蛋白 / アポトーシス |
研究概要 |
悪性腫瘍に観察される特異的な染色体転座が腫瘍化に重要な役割を担っていることが明らかになりつつある。近年、造血器腫瘍を中心に転座関連遺伝子の解析が進んでおり、MYC(8q24)、BCR(22q11)、ABL(9q34)、BCL-2(18q21)、PML(15q22)などは癌化における役割も解明されつつある。今後、さらに解析されるべき重要な転座切断点として染色体11番バンドq23(11q23)がある。この領域は乳児白血病を中心に各種造血器腫瘍の転座領域として観察され、いろいろな染色体との相互転座を示し、造血細胞の分化と増殖に関する遺伝子の存在が示唆される。我々は、t(11;14)(q23:q32)転座を有するB細胞リンパ腫株より、11q23局在するRCK遺伝子を見出した。この遺伝子は悪性リンパ腫における11q23転座に関与していると考えられている。RCK遺伝子はこれまでの研究から分化・増殖に関わる翻訳開始因子(RNA helicase family)であることが示された。本年度はRCK蛋白に対する抗体を作製し、細胞・組織における遺伝子産物の発現様式を解析した結果、ヒトの組織では普遍的にmRNAの発現はあるものの蛋白レベルにおいて脳、肺、筋組織に発現はほとんど認められなかった。興味あることにRCK蛋白陰性の組織由来の腫瘍細胞株ではかなりの量の発現が認められ、RCK遺伝子の発癌への関与が示唆された(1)。現在はRCK遺伝子高発現マウスの作製を試みている。一方、乳児白血病にみられるt(4;11)(q21;q23)、t(11;19)(q23:p13)転座に関わるMultiple Lineage Leukemia(MLL)遺伝子は乳児白血病に高頻度にみられる11q23転座の関連遺伝子であり、ショウジョウバエ体節形成に関わる遺伝子Trithorax遺伝子と高いホモロジーを有し、造血細胞の分化・増殖に関わっていることが推測される。我々は昨年度より続いている成人白血病の薬剤耐性症例にみられたt(11;22)について解析し、MLL遺伝子が転座により、zink finger領域の5′で切断され、3′側にパートナー遺伝子と融合していることを明らかにした。この結果は他のMLL遺伝子関連の転座と同様であり、MLL遺伝子が恒常的にzink fniger領域のないキメラ転写産物を作ることにより、脱制御され白血化をきたしている可能性を強く示唆した(2)。
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