研究課題/領域番号 |
06671143
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
奥田 誠也 九州大学, 医学部, 助教授 (80158823)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1994年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 増殖因子 / TGF-β / TGF-β結合蛋白 / 糸球体硬化 / 間質線維化 / マトリックス / TGF-β局在 / TGF-β活性化 / LTBP / PCR / 尿細管細胞 |
研究概要 |
1)腎組織でのマトリックス蛋白の局在とTGF-βの発現 正常組織および進行性腎病変にて、TGF-βとlatent TGF-βinding protein (LTBP)の局在、産生細胞、マトリックス蛋白との局在関係について、PCR、in situ hybridization、酵素抗体法を用いて検討した。正常腎組織では、TGF-βmRNAは糸球体、すべての尿細管セグメント、血管にその発現が認められ、一方, LTBPmRNAは糸球体と血管には認められたが、尿細管には発現しておらず、正常腎組織の尿細管細胞はLTBPを持たないsmall latent TGF-βを産生することが明かになった。しかし、一旦、組織病変が進展すると、尿細管細胞のTGF-β、LTBPいずれも発現が著明となり、腎硬化病変に関与するlarge lafent TGF-βの重要なsourceと考えられた。 増殖因子の組織修復における二面性 修復に向かうべき増殖因子が糸球体硬化や間質線維化などの不可逆的組織変化過程では、mishealingやover-healingの方向に働いている状態と考えられる。このような増殖因子の二面性に関しては、TGF-βにおける活性化機序が注目される。TGF-βは潜在型で分泌され、その後、組織の障害度や炎症の程度に応じて、活性型になるという極めて念密な調節機構をもつと考えられる。我々の急性腎炎モデルでは活性型TGF-βが検出されたのに対して、慢性進行性モデルで検出されたTGF-β蛋白のほとんど潜在型であったことは、TGF-βの緩徐かつ少量の活性化が慢性炎症における特徴と考えられる。また、浸潤細胞や糸球体細胞により分泌された潜在型TGF-βは硬化部や線維化部のマトリックスと結合した形で一旦貯蔵されていた。生体内のマトリックスは常に合成と分解が繰り返されるが、硬化部位のマトリックスも同様のturnoverをうけていると思われる。硬化部位のマトリックスが蛋白分解酵素により分解される際、同時にマトリックス内の潜在型TGF-βが蛋白分解酵素により少量ずつマトリックスから遊離し、未知の機序により活性化を受け、シグナルレセプターと結合する。その結果、さらなるマトリックス蛋白の産生が促され、糸球体硬化や間質の線維化の持続や進展をもたらす可能性が考えられる。
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