研究分担者 |
辻 力 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50073680)
木村 章彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60136611)
湯川 進 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80073716)
宗 正敏 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90174119)
味村 啓司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20174253)
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研究概要 |
1.ヒト腎におけるミオシンアイソフォーム発現の検討 (1)正常腎におけるミオシンアイソフォーム組成および組織内分布:摘出腎からのミオシン粗抽出物はイムノブロットにおいて,BBM4と反応する204kDa,200kDa,198kDa,196kDaの4つのbandが認められ,HBM-1と反応する198kDaのbandは脳胎児型(MIIB2),HBM3と反応する196kDaのbandは非筋肉型(MIIA)であり,204kDa,200kDaの2つのbandはBBM4とのみ反応し大動脈ミオシンとの比較から平滑筋型(SM1,SM2)と考えられた。HBM1を用いた免疫蛍光染色および免疫組織染色において脳胎児型ミオシンアイソフォームMIIB2は主に尿細管に発現し,糸球体には発現しなかった。(2)腎生検試料におけるミオシンアイソフォーム発現の変化:腎生検実施36症例のうちIgA腎症では13例のうち12例(92%)において,尿細管に加えメサンギウム領域に強いHBM-1との反応が認められた。またループス腎炎や膜性腎症の一部にもメサンギウム領域にMIIBアイソフォームが発現していたが微少変化群や腎アミロイドーシスなどでは発現は認められなかった。メサンギウム領域にMIIB2を発現しているIgA腎症試料は何れもproliferating cell nuclear antigen(PCNA)陰性であることより、細胞の増殖との関係は否定的であった。 2.メサンギウム増殖性腎炎におけるMIIB2アイソフォーム発現の意義:抗Thy-1抗体OX7投与後のラット腎では4〜7日でメサンギウム細胞の増殖が顕著であり,このことは細胞増殖のマーカーであるPCNAを用いた免疫組織染色でも確認された。一方メサンギウム領域におけるMIIB2の発現は投与後7日より認められ,30日目まで発現を確認できた。
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