研究概要 |
副甲状腺機能亢進症に由来する骨病変は慢性腎不全に高頻度にみられる合併症である。本病態の重症度はparathyroid hormoneの血中濃度の測定と骨生検材料から本hormoneに対応する変化を半定量的に計測しなければ判定できない。しかしながら骨より採取した僅かな材料から全身にわたる骨の病態を推測することは必ずしも的確なものとはいえず、しばしば臨床の場において矛盾点が見いだされる。本研究は生理的にcalcitoninが破骨細胞にあるreceptorと結合し破骨細胞性骨吸収を抑制する作用を応用しparathyroid hormoneが著しく高値を示す2次性副甲状腺機能亢進症にともなう骨病変の重症度判定に有用性があるか否かを明らかにすることを目的とした。 20例の慢性腎不全患者に160 unit synthetic [Asu^<1,7>]eel・calcitonin(CT)を6ml生理食塩液に混和し、3時間にわたり静脈内に持続注入した。投与前の血清Ca濃度に対する血清Ca濃度の低下の割合を検討した。注入後3時間目の値が最低値を示すことが予備実験で明らかにされたので以下のCaの値は3時間目の血清Caの低下度を示す。1.0mg/dl以上の低下を示す群はそれ以下の群に比較して有意にIPTH,AL-Pが高値であった。血清Caの低下の程度とiPTH,Al-Pは有意の相関を認めた。すなわちCTによる血清Caの低下の度合いはPTH-骨吸収系の強度を反映していると考えられた。副甲状腺摘除前後に本試験を実施し血清Caの変化率は手術前後で有意に差が認められた。 以上の成績から本試験はPTHによる破骨細胞性骨吸収の活性度を評価することができる有用な検査法であることが明らかにされた。
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