研究課題/領域番号 |
06671182
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
田代 亜彦 (1995) 千葉大学, 医学部, 講師 (70143310)
高木 一也 (1994) 千葉大学, 医学部, 助手 (80251164)
|
研究分担者 |
高木 一也 千葉大学, 医学部付属病院, 助手 (80251164)
山森 秀夫 千葉大学, 医学部, 講師 (00166836)
田代 亜彦 千葉大学, 医学部, 講師 (70143310)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | 成長ホルモン / Insulin-like growth factor-1 / translocation of gut / MOF / 細胞性免疫 / Insulin‐like cprowth factor‐1 / franslocation of gat / Insulin Like Growth Factor 1 / 蛋白代謝 / 腸管萎縮 / アルブミン合成 |
研究概要 |
成長ホルモン及びInsukin-like growth factor 1 (IGF-1)は侵襲下でも、ともに強い蛋白同化作用を有することが報告された。われわれは臨床の場を想定し、高カロリー輸液で管理したラットに体表面積の20%のIII度熱傷を作成し、成長ホルモン及びIGF-1の投与効果を検討した。まず全身蛋白代謝の指標として窒素平衡、15Nグリシンの定速静注法による蛋白代謝回転速度を測定し、次いで臓器重量を測定した。 熱傷ラットの窒素平衡は成長ホルモン、IGF-1投与により有意に改善した。全身蛋白分解は成長因子投与により増加したが、合成はさらに増加して、その結果蛋白保有は著明に増加した。 呼吸筋である横隔膜筋肉の構造蛋白は、成長ホルモン、IGF-1投与によりそのmRNAの発現が増加したが、骨格筋の構造蛋白は変化しなかった。アルブミンのmRNAは増加したが、肝臓の構造蛋白のmRNAは変化しなかった。呼吸筋の増強効果は重症患者の憎悪因子の最大のものである肺感染症や呼吸不全を抑制し、またアルブミンの合成増加は体液の環境を整えるとともに、同時に産生されるであろう急性相蛋白などの働きにより、病態からの回復の点でも有用と思われる。 成長因子、特にIGF-1は侵襲下における腸粘膜の萎縮を著明に抑制する。このとき肝臓及び脾臓のエンドトキシンを定量してみると、IGF-1投与により有意に減少した。即ちIGF-1は熱傷ラットにおけるエンドトキシンのtranslocationを抑制した。腸粘膜のIgAのmRNAの発現はIGF-1投与により変わらないことより、translocationの抑制は腸粘膜の構築が維持されるためと思われた。Translocationは重症化の一要因として重要と思われ、ここでもIGF-1に有用性が示された。 侵襲下では細胞性免疫は著明に低下し、感染性合併症発生の温床となり、重症化を加速する大きな要因である。成長ホルモンもIGF-1も、熱傷ラットにおけるDinitorofluorobenzene感作後の耳殻腫大率を有意に増加させ、細胞性免疫の著明な賦活作用を認めた。この事実は感染の予防ばかりでなく、治療にも臨床応用できる可能性をもつと思われる。 以上、これまで重症患者やMOF患者に対する臨床応用の可能性を支持する多くの証左を得ることが出来た。今後食道癌患者の術後やMOF患者などへの臨床応用例を増やして、種々の臨床効果-合併症発生率、人工呼吸器装着期間、創治癒、救命率などについて検討を続けたい。
|