研究概要 |
1,ラット下肢骨格筋は主として薄筋を用い,DMSOは吸光分析用を用いたが,互いに極めて隣接した部位より採取した3個の新鮮筋標本のMTT assayの測定値が,大きく隔たらないまでに操作手技に習熟した後,triplicateで測定を行った。骨格筋の凍結は,新鮮筋標本約20mgを容量約1mlの容器に入れ密閉し,容器ごと液体窒素内に没入して凍結した。凍結保存は,deep freezer内に-70℃で保存した。解凍は約10分間の室温放置とした。 2,筋標本を同一ラットの同一下肢筋より採取して,これを2分割し,一方を新鮮標本,他方を凍結標本としてMTT assay(1)を行った。二標本相互の測定値の隔たりを,新鮮標本測定値に対する凍結標本測定値の比率Rで表し,検討した。まず,新鮮標本と凍結保存標本の差を概観する目的で実験1を,保存なしで凍結,解凍操作の影響を見る目的で実験2を行った。 〈実験1〉凍結保存時間を数時間から数日とし,6個体で検討すると,Rは0.89〜1.27,平均1.05であり,Rと凍結保存時間の相関関係は認められなかった。〈実験2〉標本凍結を液体窒素内20分のみとし,ただちに解凍して5個体で検討すると,Rは0.98〜1.46,平均1.21であった。 3,凍結骨格筋を用いたMTT assay法は現時点では以下のようにまとめられる。 1)本法は筋湿重量あたりの活性値として測定されるので,新鮮筋標本の乾燥が測定値を不安定にするが,筋標本の凍結は必ずしもこの欠点を改善せず,むしろ測定誤差を拡大する可能性があり大きな利点はないと考えられる。 2)急速冷凍乾燥法は検討の余地がある。
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