研究概要 |
1.光感受性物質としてPolyhematoporphyrin ether(PHE)を用いて w/o/w型PHEエマルション(含有率0.5mg/ml)を二段階乳化法にて作成し,最低50日間は安定であることを確認した。 2.w/o/w型PHEエマルションの腫瘍集積性をウサギ大腿部のVX2腫瘍を用いてHPLC法にて測定した結果,エマルション局注(PHE0.5mg/kg)の6時間後の腫瘍内濃度が10.4±2.4μg/gで,静注(PHE2mg/kg)では13.8±3.8μg/gであった。血中濃度は,エマルション局注では検出限界以下であったのに対し,静注は7.6±0.4μg/mlであった。以上より,w/o/w型PHEエマルションの局所投与は全身投与に比較してはるかに低投与量でも,血中濃度を高めることなく従来の全身投与とほぼ同等の腫瘍内濃度を得ることが明らかになった。 3.ウサギ大腿部のVX2腫瘍に対し,w/o/w型PHEエマルションを局注6時間後にコイル状電極を用いて温熱作用を受けない条件で腫瘍全体にマイクロ波照射し,7日後の腫瘍縮小率を測定し,マイクロ波照射単独群,静注群と比較した結果,マイクロ波照射単独では腫瘍は増大傾向を示したのに対し,エマルション局注群では89.8±12.1%,静注群では77.4±20.7%の腫瘍縮小効果を認めた。以上よりマイクロ波力学的治療でも抗腫瘍効果の得られることを明らかにできた。
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