研究概要 |
輸血によるウイルス感染症,輸血後GVH病等の副作用・合併症予防のために自己血輸血が実施されている。しかし,関節リウマチ患者,担癌患者の場合は,採血時に貧血がある場合も多く,自己血輸血の適応から除外されているのが現状である。そこで,これらの患者から600ml〜800mlの自己血貯血を実施し,遺伝子組換えエリスロポエチン(EPO)を投与し,各採血時の副作用の有無,採血後Hb濃度,貯血量等から採血法の安全性,有効性について評価した.対象は,関節リウマチ患者(8例),婦人科(13例),消化器外科悪性腫瘍患者で(8例)の合計29例である.その結果,Hb値≧11g/dlでは400ml採血,またHb値<11g/dlでは200〜300ml採血を行うことにより安全に採血が可能であった.また,EPO投与により,採血後貧血が抑制され,Hb濃度増加量でみても,消化器外科患者を除いて合併症のない整形外科また心臓血管外科患者との比較において特に劣るものではなかった. 従って,これらの貯血困難と考えられた関節リウマチ,担癌患者でも貧血の程度に応じて1回採血量を減らし,EPOを補助療法として使用することにより十分800ml〜1000mlの貯血は可能であると考えられた.
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