研究分担者 |
柿田 章 北里大学, 医学部, 教授 (90109439)
吉田 宗紀 北里大学, 医学部, 講師 (50201017)
古田 一徳 北里大学, 医学部, 助手 (40209177)
伊藤 義也 北里大学, 医学部, 助手 (40203187)
高橋 毅 北里大学, 医学部, 講師 (70245405)
松沢 克典 北里大学, 医学部, 助手 (70209534)
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研究概要 |
【目的】肝除神経後の肝の病態に関しては未だ不明な点が多い。我々はこれまで肝除神経が肝血流に与える影響について検討をしてきた。今回は肝血流増加作用をもつ塩酸ドパミン(DOA)を除神経前後および1週後に投与し,肝血流に与える効果について報告する。【方法】雑種成犬(平均体重13.6kg)をペントバルビタールで麻酔し,呼吸はレスピレーターで維持した。肝十二指腸間膜および肝周囲の流入流出脈管以外のすべての組織を切除して肝除神経モデルを作成した。DOAを1群:肝除神経を行なわないで投与した群,2群:肝除神経1時間後投与群,3群:肝除神経1週後投与群に分けて持続静注した。DOAの投与量は3γおよび10γとし投与前,投与後30分に門脈および肝動脈血流量を超音波トランジットタイム血流計で測定し同時に心拍出量も測定した。【結果】門脈血流量/心拍出量(平均):3γでは1群(0.137→0.174),2群(0.165→0.182),3群(0.131→0.145)となり1,3群で有意に増加した。10γにより1群(0.140→0.200),2群(0.158→0.189),3群(0.132→0.153)となり各群とも有意に増加した。肝動脈血流量/心拍出量(平均):3γでは1群(0.028→0.034),2群(0.044→0.030),3群(0.047→0.043)となり、2群で有意に減少した。10γにより1群(0.027→0.014),2群(0.041→0.018),3群(0.049→0.029)となり各群とも有意に減少した。総肝血流量(門脈血流量+肝動脈血流量)/心拍出量:3γおよび10γにより1群で有意に増加したが2群,3群は有意な変化はなかった。【結論】3γDOA投与では肝除神経直後期で,門脈血流は有意に増加せず肝動脈血流の減少させた。10γDOA投与ではどの時期において門脈血流の増加と肝動脈血流の減少を示した。しかしながら総肝血流量はDOA投与により除神経1週後までは増加しなかった。これは,肝除神経によりDOAの肝血流に対する反応が変化していることが示唆された。
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