研究分担者 |
小川 信二 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (80224103)
正村 滋 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (40190342)
大森 泰 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00169070)
小野 成夫 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (20124943)
田中 豊治 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (80085810)
竹中 能文 東京歯科大学, 市川総合病院外科学講座, 講師 (40129523)
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研究概要 |
1.腹腔内留置シリコンシートの作製と臨床試用結果 シートは,中央部に内径0.25mmの管を持つ,厚さ0.25mm,大きさ280×210mmのシリコンラバー製で,片面には約100×210mmの同薄膜5枚が40mm間隔で前垂れ様に接着固定されたものである。細管とシートには直径1.4mmの小孔が多数存在し,これらにより細管に注入された薬剤が,腹腔内全域に行き渡ることを目指した。インフォームド・コンセント(IC)後,開腹術後2週目にウログラフィン1/2×生理食塩液による経シート腹腔造影で,造影剤が腹腔全域に広がることを確認した。 2.臨床治験 (1)対象:胃癌stage IVb 10例,腹膜播種性再発胃癌4例の計14例。年齢は45〜79歳,平均62.8歳,男性8例,女性6例。全例,P_<2〜3>で,腹水を認めた。 (2)方法:IC後,3例に胃全摘,1例に2/3胃切除,2例に胃空腸吻合,8例に単開腹。シートを腹腔内に留置し,腹部皮下に埋没した皮下リザーバーに接続した。CBDCA100〜300mg,VP-16 100〜200mgを術当日,または術後1週目より,1×/週,連続4週投与を1ク-ルとした。1ク-ル終了後,退院。その後は外来で,経過を見ながら1×/2〜4週,同様に抗癌剤を投与した。 (3)成績:14例中13例(93%)で腹水消失,全身状態も改善し,12例(86%)が退院。在宅率は平均66.7%。術後5〜10カ月で9例が死亡。死因は肝転移6例,心筋梗塞1例,癌性イレウス2例。4例の病理解剖所見では,いずれも腹腔内細胞診陰性,P所見も著明に改善されていた。 3.結論:本法は,腹膜播種を伴う胃癌の治療,特にQOLの改善に有効と考えられる。
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