研究課題/領域番号 |
06671268
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森本 泰介 京都大学, 医学部, 助手 (60135910)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ヒアルロン酸 / 人工肝 / 肝灌流 / 類洞内皮細胞障害 / 異種血液灌流 |
研究概要 |
肝微小循環障害における肝類洞内皮細胞の障害を評価するため、灌流肝モデルにおいて肝内皮細胞で特異的にとりこまれるヒアルロン酸を負荷し、そのクリアランスが内皮細胞障害を反映するパラメーターとなりうるかどうかを検討した。モデルとしてKrebs-Henselite液潅流、allogenic、zenogenicの血液潅流を行い、さらに補体の役割についても検討した結果、以下の知見が得られた。 (1)Krebs-Henselite液での閉鎖式ラット肝潅流では、負荷したヒアルロン酸の半減期は20分未満であり、消失は潅流開始後120分まで指数曲線にて表された。潅流圧の上昇は3時間以後に生じた。 (2)Allogenicの血液をKrebs-Henselite液に混入した潅流液を用いた実験では、ヒアルロン酸の消失は実験1のコントロール群と全く同様の結果が得られた。潅流圧については、コントロール群よりも高値ではあるも一定で、やはり潅流3時間後より上昇し始めた。 (3)zenogenicの血液の実験では肝はモルモットを用いラット血液をKrebs-Henselite液に混入した潅流液を用いた。肝潅流圧は潅流直後よりAllogenicの場合よりも更に高く経時的に上昇した。潅流80分後より壊死部分も認め始めた。ヒアルロン酸の消失は潅流開始20分まではコントロール群と同様の変化であったが、以後ヒアルロン酸の濃度は減少せず肝類洞内皮細胞の障害が潅流早期より生じていることを示唆した。 (4)ラット肝をヒト新鮮凍結血漿において潅流するモデルにおいて、加熱処理による補体の除去により、クリアランス曲線に差異がみとめられ、内皮細胞の障害が補体の活性化と大きく関連していることが判明し、人工肝として動物肝を使用する系では、補助肝のviabilityの低下の要素として、補体系による補助肝の類洞内皮細胞の障害が大きく関与していることが示唆された。 以上の成果は、zenogenicの血液潅流を行った場合には肝実質障害の前に類洞内皮細胞が異種の血漿成分、特に補体により大きな障害をうけていることを示すものであり、この早期の障害はこれまでのパラメーターでは評価しがたいが、ヒアルロン酸クリアランスの測定が有効であることを示している。
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