研究概要 |
肝硬変、黄疸を合併した肝細胞癌、胆管細胞癌に対して安全で根治性の高い手術の開発を目的として障害肝に対するV-V bypass,肝冷却灌流の有用性と安全性について豚モデルを用いて検討した。 1.子豚を用いたV-V bypass,肝冷却灌流の有用性の検討 平成6年までに完成したイヌV-V bypass,肝冷却灌流モデルを子豚に応用し温阻血群に比べ冷却灌流群において有意に肝細胞保護効果を認めた。 2.閉塞性黄疸障害肝におけるV-V bypass,肝冷却灌流の有用性の検討 子豚の総胆管を結紮して作成した閉塞性黄疸障害肝で1と同様の検討を行った。閉塞性黄疸肝において温阻血障害により著名な肝細胞障害が引き起こされたが、肝冷却灌流は正常肝におけると同様閉塞性黄疸肝においても肝障害を軽減した。 3.長時間V-V bypass,肝冷却灌流の可能性の検討 同様に子豚を用いて60,120,180分の肝阻血を行い本法の有用性と限界を検討した結果、生体内での物理的冷却は肝阻血障害を軽減させる有効な手段で、灌流液としてUW液を用いることにより180分までの肝阻血が可能である事が判明した。 4.PGIの肝細胞保護効果の検討 同様のモデルにてPGI2誘導体OP-2507を阻血前投与、灌流液内混和投与しその肝保護効果について検討した結果、PGI2を用いた肝冷却灌流は肝虚血再灌流障害の軽減に有効であった。
|