研究課題/領域番号 |
06671336
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
胸部外科学
|
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
森 渥視 (1995) 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80026971)
藤野 昇三 (1994) 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10209075)
|
研究分担者 |
手塚 則明 滋賀医科大学, 医学部, 医員
藤野 昇三 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10209075)
岡田 慶夫 滋賀医科大学, 医学部, 学長 (10106825)
森 渥視 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80026971)
朝倉 庄志 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90222570)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1995年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | 固定生物肺 / 人工肺 / ガス交換機能 / 生物肺 / 灌流固定 |
研究概要 |
以下の二種類の方法により灌流固定肺の肺機能を評価した。固定液としては、現在までの検討で最も良好なガス交換能が得られた4%パラホルムアルデハイド、0.325%グルタールアルデハイド混合液を使用した。同液による灌流固定後の肺組織は、光顕・電顕的にも膜構造の温存度が最も優れていた。 1)mechanical oxygenatorをdeoxygenatorとして組み込んだ回路による生体外灌流実験: 肺灌流前の血液と、肺でガス交換をうけて肺静脈から流出した血液との両者につき、1時間毎に血液ガス分圧を比較した。肺灌流前の流入血の酸素分圧、二酸化炭素分圧の変動を補正する目的で、肺におけるガス交換能は流入血と流出血との酸素分圧較差(D-PO_2)、二酸化炭素分圧較差(D-PCO_2)によって評価した。 5検体のうち3検体はそれぞれ2,3,4時間目で血液の灌流が不可能となり、予定した5時間の灌流が終了したものは2検体のみであった。血液灌流開始時のD-PO_2は概ね100torr前後で、終了時あるいは灌流不可能になった直前は30〜40torrであった。一方、D-PCO_2は10〜20torrで、全経過を通じてあまり変化を示さなかった。少数例ながら数時間に渡り十分なガス交換能が得られたことは注目に値する。 2)灌流固定肺による生体内灌流実験: 成犬左肺の肺動脈、肺静脈に送血、脱血管を各々挿入し、4%パラホルムアルデハイド、0.325%グルタールアルデハイド混合液を1時間灌流し左肺の灌流固定を行った。引き続き、十分量の肺保存液を灌流し固定液の洗い出しを行った。両肺換気時、固定肺換気時(右肺門結紮)の血液ガス値を測定した。動脈血と静脈血との両者につき、1時間毎に血液ガス分圧を比較した。ガス交換能の評価は動脈血と静脈血との酵素分圧較差(D-PO_2)、二酸化炭素分圧較差(D-PCO_2)によって評価した。 両肺換気群3例では5時間まで生存したものはなく、ガス交換機能が評価できた時間は各々2,3,4時間までであった。測定開始時のD-PO_2は190〜320torrで、死亡前は70〜140torrであった。 一方、固定肺換気群3例の内、2例は右肺門結紮直後に、1例は2時間経過後に死亡した。2時間後死亡例のD-PO_2は開始時150torrで、死亡前は80torrであった。 今回の検討で固定液による遊離固定肺でも一定のガス交換機能が得られることは判明したが、その機能は保存・移植肺と比較しても十分なものではなかった。今後は他の固定液を試すと同時に、ホルマリンガスによるガス固定、乾燥固定なども検討対象とすることが必要である。 一方、肺機能の評価方法については、遊離固定肺の機能評価に用いたex vivoの方法よりも、in vivoの方法が優れている。今後は、犬左肺移植モデルを固定肺の機能評価に応用する予定である。
|