研究課題/領域番号 |
06671368
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00216996)
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研究分担者 |
増澤 徹 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (40199691)
中谷 武嗣 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 室長 (60155752)
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (00142183)
高野 久輝 国立循環器病センター研究所, 副所長 (60028595)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1995年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1994年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 無拍動流 / 人工心臓 / 遠心ポンプ / 末梢循環 / 組織血流 / 交感神経 / 体液性調節 / マイクロスフェア法 / サーモグラフィ / マイクロスクェア法 |
研究概要 |
本研究の目的は、全身血液循環を無拍動流化しこれを維持した場合の生体の循環生理について検討することである。まず初年度は、手術侵襲を与えることなく覚醒下で血液循環を無拍動流化した場合の生体変化について、成山羊を用いた100%左心または右心バイパスの慢性動物実験で、拍動流ポンプから無拍動流ポンプに迅速に交換して血液循環を無拍動流化することにより検討を行なった。体循環の無拍動流化に伴って、潅流量は増加傾向を全末梢血管抵抗は減少傾向を示したが、有意の変化ではなかった。全身酸素消費量、血清乳酸値にも有意の変化を認めず、各種の血管作動性ホルモンも有意な変化を示すことなく推移した。また、サーモグラフィによる末梢温やレーザードップラー血流計による末梢血流量も良好に維持された。一方、肺循環の無拍動流化においても、呼吸機能や血行動態、肺血管外水分量、肺組織血流量・血流分布、肺組織形態などに変化を認めず、血液循環の無拍動流化は覚醒状態の生体に有意の影響をおよぼさないことが明らかとなった。次年度は、生体がいかなる過程を経て無拍動流循環に適応するのかという点について、体循環を無拍動流化した直後の生体の神経性および液性の循環調節機構の変化について検討を加えた。成山羊を用い、全身麻酔下に左房左室脱血、下行大動脈送血の左心バイパス回路を装着し、100%左心バイパス下に拍動流から無拍動流へと瞬時に移行し、その前後での血行動態、腎交感神経活動、および液性調節因子の変化を観察した。無拍動流化後全身灌流量と末梢血管抵抗は変化しなかったが、平均大動脈圧は有意に上昇した。腎交感神経活動については、大動脈圧の拍動周期に一致した神経活動バーストの周期性は無拍動流化に伴って消失し、また交感神経活動量は一過性に有意に増加した。一方、液性調節因子ではノルアドレナリンのみが無拍動流化に伴って有意に増加し、平均大動脈圧とノルアドレナリンの変化値の間には有意な負の相関が観察された。これらの結果は、無拍動流化後急性期に交感神経系の一時的な緊張によって血中ノルアドレナリン値が増加し、同時に圧受容体反射の関与した循環調節が機能している可能性を示唆するものと考えられた。
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