研究課題/領域番号 |
06671372
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉井 興志彦 (吉井 與志彦 / 吉井 輿志彦) 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (50110507)
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研究分担者 |
奥野 洋明 生命工学研究所, 生体物質部;機能科学室, 室長
坪井 康次 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90188615)
青柳 一正 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (40114029)
早川 吉則 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (90101740)
丸橋 晃 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (30114135)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1995年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1994年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 陽子線 / 電離放射線 / 活性酸素 / 抗酸化効果(剤) / in vitro / in vivo / 免疫組織化学 / 抗酸化因子 / ラジカル / DCFHDA / SOD / GST-Tc / Immunohistochemical / ラジカル刺激剤 / スカベンジャー薬剤 / 蛍光測定 / U251細胞 / CDDP / 細胞致死効果 / 神経膠腫細胞 |
研究概要 |
陽子線の定位的な線量分布や、薬物動態の研究成果を組み合わせることによって、腫瘍局所に陽子線照射によって産生されたラジカル反応を比較的長時間保持する薬剤を併用し、結果的に放射線生物効果を高める。ことを目指した研究を行なったので報告する。 (1)陽子線による定位的radiosurgery治療法の研究 垂直、水平ビームにあうべく、水平台上に仰臥位の頭部位置から、頭位角度を自由に変えるべく陽子線照射用頭部固定装置を作成した。誤差は2-3mm以内であり、AVM例に本装置を用いて行ったが、現在まで周辺正常組織にたいする障害は見られていない。 (2)正常脳組織、脳腫瘍組織に於ける放射線照射、他薬剤併用による活性酸素の発現に関する研究。 CDDP,VPー16では50ug/mlで投与後1日目に20-30%の細胞減少が見られ、放射線照射では5Gyの単独照射後0.5-1日後に30-40%の細胞減少が見られた。ラジカル反応は、投与(照射)直後より観察された。各種刺激剤による細胞致死効果は、dose responseな傾向を持った。一方、致死効果とラジカル反応陽性細胞出現率とは、量的に一致していなかった。 ラジカル増強・抑制効果を細胞増殖率から検討した。PMA単独投与による増殖抑制を、Bromo.,Carvedilol共に改善する傾向を示した。Carvedilolに於いては、60-100uM濃度ではPMAの効果増強を、10-30uM濃度ではPMA効果の抑制を示した。即ち、Carvedilolの投与法によって、腫瘍内濃度を高くし、酸化反応の増強を、一方正常脳には低濃度で酸化反応からの防御が期待できると示唆された。 ヒト脳腫瘍に於いて、SODスカベンジャーの発現は、多くの脳腫瘍に見られ、発現程度は脳腫瘍の組織学的悪性度に相関しなかった。Gliomaにおいて、SODスカベンジャー発現が高い場合には、術後放射線・化学療法後の再発期間が短い傾向にあった。 ラジカル反応の評価は、それを量的に捉えるラジカル捕捉剤であるDCF-Dが細胞内で安定的に存在していることが不可欠である。しかし今回の検討では、この不安定性がまだ完全に解明されておらず、安定的な薬剤を追求する事も含め、今後の課題である。また悪性脳腫瘍には、腫瘍細胞に抗酸化機構が活発に作用している腫瘍群もあり、こういった腫瘍も陽子線Radiosurgeryの治療対象に加えるには、radiosurgeryの生物学的効果をさらに、単なる細胞死ではなく、質的な作用機構まで掘り下げた研究が必要である。
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