研究概要 |
平成6年度の研究でラット延髄外側部圧迫により比較的恒常的に圧迫時のみ一過性に血圧を上昇させることが可能となった。またラット延髄C1-cell group孤束核、および第IX、X脳神経を切断した際の延髄外側部圧迫による血圧変動の経時的観察を行い,特にC_1-cell groupの破壊でのみ有意に血圧が変動しやすい傾向が認められた. そこで平成7年度は延髄外側(a)右側,b)左側)の圧迫や,延髄(a)右側,b)左側,c)両側)のC_1-cell groupにelectrolytic lesionを作成し,microballoonによる圧迫前後の血圧変動を経時的に観察した結果,各群とも圧迫時有意に血圧,特に収縮期圧は上昇するが,明らかな左右差は認められなかった.従って今回の実験結果から左側延髄外側部の圧迫では,右側圧迫時に比し有意に心血管系の変化がみられたとする臨床結果を指示する所見は得られなかった.以上の実験結果から今後孤束核や,他の中枢神経ニューロン連絡との関連について検討する必要があることが示唆された. この間臨床的には左側顔面痙攣を伴う高血圧患者は微小血管減圧術を施行し,術後抗圧剤が不要になった1症例と,左側小脳橋角部髄膜腫の術中,等に第VII,VIII,IX,X脳神経周囲脳幹から腫瘍を剥離する際,可逆的な低血圧や除脈を呈した1症例を経験した.
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