研究課題/領域番号 |
06671414
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
板倉 徹 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40100995)
|
研究分担者 |
上松 石二 (上松 右二) 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (90223502)
奥野 孝 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (60244729)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1995年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | パーキンソン病 / 神経移植 / 神経栄養因子 / Interleukin / 交感神経節 / インターロイキン / 6-OHDA / 組織培養 |
研究概要 |
我々はパーキンソン病に対する新しい治療法として交感神経節の脳内移植を検討してきた。現在まですでに46例に臨床応用し約6割の症例で効果を認めたが、4割の症例では効果が認められなかった。本研究プロジェクトでは、この無効例を減少させるべく基礎的・臨床的検討をすすめた。基礎的には交感神経の栄養因子で細胞を前処置し、移植細胞の生着を高める検討を行った。臨床的には予後に影響を与える因子を分析し臨床例での術後成績の向上を図った。(1)基礎的研究 培養交感神経節に神経成長因子(NGF)をあらかじめ滴与し移植すると、移植片の生着率は著明に向上した。またシュワン細胞に働いてNGF放出を促進させるといわれているInterleukin‐1の前処置でもNGF処置と同様生着率が向上することが明らかになった。6‐OHDAラットモデルを用いて行動を分析すると、培養液中にInterleukin‐1を投与し神経節と反応させると回転行動が有意に減少した。つまりNGFやInterleukin 1で前処置した交感神経節は形態的にも機能的にも移植後宿主脳内でよりよく生着しその機能を発揮した。(2)臨床的研究 臨床的には移植適応患者はさらに増加し、46症例に達した。このうち60%の患者は移植で症状の改善または投薬量の減少をみた。手術成績に影響を与える因子としては、患者年齢、罹病期間、重症度、交感神経節の状態であった。このうち交感神経節内Lewy小体の有無と数は特に手術結果とよく相関した。 以上の研究結果は神経成長因子の前処置で交感神経節細胞は強化され、移植後生着率は向上しいっそう強い機能を果たすことが明らかとなった。また臨床面でも症例の増加にともない、手術の効果を予想することが可能となった。以上の結果から本移植法は正しい手術適応のもとパーキンソン病に対する根本的な手術療法として確立されつつあるといえる。
|