研究概要 |
本科学研究費補助金によって,人間のPerthes病に類似した大腿骨頭壊死を頻発する高血圧自然発症ラット(SHR)における,骨頭栄養血管の形態学的特異性を,光顕的および走査電顕的に検索した。 平成6年度では,ラット骨頭栄養血管の主なものはlateral epiphyseal vessels(LEVs)であり,生後7ないし9週に出現する骨端核の発育に重要な役割を演じていることを明らかにした。また,この時期と大腿骨頭壊死が発生する時期とが一致することをつきとめた。この結果はPeculiar Structures of the Blood Vessels Forming the Secondary Ossification Center in the Rat Femoral Headsの題名でCalcified Tissue Internationalに揚載された。 平成7年度では,SHRの成長にともなう骨頭栄養血管の変化および大腿骨頭壊死発生時の栄養血管所見も観察した。その結果,(1)大腿骨頭壊死を起こしていないものでも,LEVsが骨頭内へ貫通する部位で限局性に狭窄していること,(2)新鮮な壊死骨頭におけるLEVsの閉塞部位は,骨頭軟骨貫通部であることが明らかになった。このことはCalcified Tissue InternationalにCharacteristics of Blood Vessels Feeding the Femoral Head Liable to Osteonecrosis In Spontaneously Hypertensive Ratsの題名で掲載予定である。また,これら血管異常は,骨頭軟骨の脆弱性にもとずくことを示す組織所見が得られ、Vascular Occlusion and Cartilage Disorders in Osteonecrosis of the Femoral Head in Ratsの題名でInternational Orthopaedicsに掲載予定となっている。
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