研究概要 |
18例(年齢:4カ月〜88歳,平均58歳)の剖検例より,死後12時間以内に得られた39個の頚神経根・後根神経節標本から,鈴木鍍銀染色標本,Kluver-Barrera髄鞘染色病理標本(1切片の厚さ:20μm)を作製し,神経根と後根神経節の硬膜性被膜における各種神経終末の存在と分布およびその経年的変化を光学顕微鏡を用いて調べた。前根硬膜性被膜,後根硬膜性被膜,後根神経節硬膜性被膜とその隔壁に自由神経終末が,後根神経節硬膜性被膜とその隔壁に2種の小体様神経終末の存在を認められた。自由神経終末は後根神経節両極部の硬膜性被膜に最も多く分布し,神経線維直径はC神経線維とAδ神経線維に相当するものが認められた。後根神経節硬膜性被膜における自由神経終末の数は,400倍の1視野内に相当する円柱(0.16mm^2×0.06mm=0.01mm^3)あたり,最大12個であり,区分における場合の最大値平均は3.7個/区分であった。硬膜性被膜の自由神経終末の求心路には二つあり,洞脊髄神経sinuvertebral nerveを経るものと,直接後根神経節内に進入するものが認められた。経年性変化として後根神経節硬膜性被膜における自由神経終末数が加齢と有意の正の相関を示した(γ=0.75)。また,60歳未満と60歳以上に分けると,後根神経節硬膜性被膜における自由神経終末の数は60歳以上の群において有意に増加していた(P=0.019)。頸神経根硬膜性被膜の自由神経終末は,神経根性疼痛の発生に重要な役割を果たしているものと考えられた。 日本家兎の頸神経後根経節の慢性傷害実験では,十分な結果が得られなかった。
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