研究課題/領域番号 |
06671493
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
吉沢 英造 (吉澤 英造) 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (60084555)
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研究分担者 |
鵜飼 高弘 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師
小林 茂 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (80234821)
中井 定明 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (10247645)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1995年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1994年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 脊髄 / 脊髄空洞症 / くも膜炎 / 血液-脊髄関門 / 血液・脊髄関門 |
研究概要 |
本実験ではウサギのクモ膜下腔にカオリンを注入して脊髄癒着性クモ膜炎モデルを作成し、4カ月後に屠殺後、形態学的手法を用いて脊髄空洞症の発現機序について検討した。その結果、カオリンを脳脊髄液中に注入した22羽のうち3羽はくも膜下腔の部分的閉塞を、19羽は全周性閉塞を来していた。クモ膜下腔の部分閉塞例では髄内の変性像や中心管の拡大は見られなかったが、全周性閉塞例では14羽に中心管の拡大(hydromyelia)が、9羽で脊髄内の空洞(syringomyelia)が出現していた。蛍光顕微鏡下の観察では、クモ膜下腔の全周性閉塞例で中心管周囲から後索部にかけて髄内浮腫が存在した。この変化はクモ膜下腔の部分閉塞例ではみられなかったことより、動脈系の障害というよりはむしろ圧迫に脆弱な静脈系の還流障害が原因と考えられた。走査型電顕による観察では、hydromyeliaで拡大した中心管壁にみられる上衣細胞の線毛は著しく減少し、透過型電顕下の観察でも上衣細胞間の離開が認められた。また、syringomyeliaでは神経線維や神経細胞が空洞面に露出し、脊髄組織との境界は不明瞭であった。透過型電顕下の観察でも空洞周囲には神経線維や神経細胞の変性像がみられ、多数の大食細胞が壊死組織の貧食・清掃を行っていた。すなわち、脊髄では神経組織の再生はほとんど起こらないため、壊死に陥り大食細胞に貧食された領域は空洞(syringomyelia)として残存すると考えられた。以上の研究結果より、脊髄空洞症には中心管の拡大したhydromyeliaと中心管との交通のないsyringomyeliaの発症機序の異なる2つのタイプの空洞(syrinx)が存在した。すなわち、hydromyeliaの発症には脳脊髄液の還流障害が、syringomyeliaには脊髄内の血液障害後に生じた組織壊死が空洞の形成に深く関与していると考えられた。
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