| 研究概要 |
ベンゾジアゼピンによる健常人の呼吸抑制作用の研究において,ベンゾジアゼピンの呼吸抑制の程度・変化は軽微であるが,上気道周囲の筋弛緩が強く,容易に軌道閉塞を起こすこと,ベンゾジアゼピンの拮抗薬であるフルマゼニルがこれらベンゾジアゼピンの作用を拮抗することを見いだした.この成果は邦文雑誌に掲載された(論文1参照).本年度はさらに研究を進め,呼吸抑制に関する少量の鎮静薬とミダゾラムの相加・相乗作用について研究した.これらの薬物の併用投与は,ミダゾラム単独の場合に比較して,より強い呼吸抑制作用を引き起こした.その特徴は一回換気量は減少せず,呼吸回数の減少であった.この変化はそれぞれの拮抗薬で拮抗された.これらの知見は現在欧文雑誌に投稿準備中である.
これらの研究に平行して,研究計画に盛り込まれている心拍変動の揺らぎを高速フーリエ解析し,呼吸パラメータとの対比を探る目的で基礎実験を行った.健康成人のボランティアおよびQT延長症候群患者に,局所麻酔薬で星状神経節ブロックを行い立位負荷による心臓自律神経系の変動を検討した.健康成人の安静仰臥位では心臓自律神経活動の変化は認められなかったが,立位負荷により右星状神経節ブロックは心臓自律神経活動を亢進させるが,左のブロックは抑制することがわかった.一方,QT延長症候群患者では安静仰臥位において,右星状神経節ブロックは心臓自律神経活動を亢進させ,左のブロックは抑制することが明かであった.このことはQT延長症候群患者の病態は左右の交感神経活動のアンバランスにより引き起こされていると推測された.これらの成果は欧文1編,邦文2編の論文として掲載された(論文2〜4参照).
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