研究課題/領域番号 |
06671518
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中尾 慎一 京都大学, 医学研究科, 助手 (10207714)
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研究分担者 |
森 健次郎 京都大学, 医学研究科, 教授 (20025620)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | c-fos / ハロセン / 疼痛 / 脊髄 / ホルマリン / pain |
研究概要 |
本研究の目的は、疼痛という主観的な体験を、c-Fos発現という客観的な事象として、定量的に捉えようとすることである。また、ホルマリンモデルを用いて、ホルマリン疼痛刺激の第1相(c fiberへの直接刺激による)および第2相(中枢での感作による)に対する麻酔薬の効果を調べることにより、麻酔薬の侵害刺激に対する直接作用と、中枢での感作に対する作用を定量化しようとすることである。 5%ホルマリンをラット後肢足底に皮下注し、脊髄後角(I-VI)に発現してくる細胞性癌遺伝子c-Fos発現量に対する吸入麻酔薬ハロセンの効果を検討した。ホルマリンのラット足底皮下注により、脊髄後角の特に一側(皮下注と同側)にc-Fos発現を認め、脊髄上の脳では、視床、視床下部や大脳皮質に発現を認めた。ホルマリンにより誘導される脊髄後角におけるc-Fos発現量は、腰椎(L3/4)のレベルで、コントロール100%に対して、1.1%ハロタンをホルマリン第1相かつ第2相ともに吸入させた場合40%,1.7%ハロセンを同様に吸入させた場合20%と減少した。1.7%ハロタンをホルマリン第1相のみ吸入させた場合、コントロール100%に対して66%、1.7%ハロタンをホルマリン第2相のみ吸入させた場合37%、と有意に低下した。さらに、ハロタンはホルマリンの第1相、第2相のどちらの期間に作用させてもc-Fos発現を抑制するが、両相を通じて作用させた時に比べると、その抑制は軽度であることが明らかになった。しかし、脊髄ではハロセンそのものによるc-Fosの発現は起こらないことは確認できたが、その他の脊髄上の脳(大脳皮質や視床、視床下部)では、ハロタンのみでc-Fos発現が起こることがわかり、c-Fosを指標とした定量化はできなかった。 以上の結果より、吸入麻酔薬ハロタンには、臨床使用濃度で、脊髄レベルでの鎮痛効果のある可能性が示唆された。さらに、ホルマリン第2相のみにハロタンを投与した場合でも、コントロールに比べてc-Fos発現が減ったということは、すでに脊髄での感作が成立した後にハロタンを与えても、鎮痛効果を発揮することが出来る可能性が示唆された。しかし、ハロタンの最大の鎮痛効果は、感作の成立前から成立後にかけて投与された場合に得られることが示唆された。
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