研究課題/領域番号 |
06671530
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
立石 彰男 山口大学, 医学部・附属病院, 助教授 (00155102)
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研究分担者 |
中島 研 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (00243668)
藤澤 博亮 山口大学, 医学部, 助手 (50238565)
定光 大海 山口大学, 医学部, 助教授 (10187164)
前川 剛志 山口大学, 医学部, 教授 (60034972)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 脳蘇生 / 蘇生後脳症 / 頭部外傷 / 微小透析法 / ラクテート / 酸化窒素 / 興奮性アミノ酸 |
研究概要 |
1.目的 重症脳障害で脳指向型集中治療を要する患者の中枢神経モニターにおいて、最終的機能評価とも言うべき従来の電気生理学的検査に加えて、近年開発されたさまざまな治療法の標的となる頭蓋内病態の詳細な評価を神経化学モニタリングとして導入する. 2.対象と方法 1)対象;低酸素脳症、重症クモ膜下出血、重症頭部外傷の計15例。 2)方法 (1)脳静脈血分析;蘇生後に低酸素脳症を残した症例群。蘇生直後の相対的な低潅流(脳酸素消費量に比して脳血流が不足した状態)を評価するために、内頚静脈球部血の酸素飽和度およびラクテート濃度を測定。 (2)脳脊髄液分析;脳血管攣縮を合併した重症クモ膜下出血の症例群。虚血傷害進展過程でのグルタミン酸異常放出を抑制する目的で軽度低体温療法を実施。脳室ドレナージを施行し術後脳脊髄液を採取しアミノ酸、酸化窒素を測定. (3)微小透析法;頭部外傷重症例で傷害脳局所に微小透析カテーテルを留置し、潅流液中アミノ酸、酸化窒素を測定.アミノ酸濃度は高速液体クロマトグラフィーにて、酸化窒素代謝物であるNO2,NO3はキャピラリー電気泳動法によった。 3.結果 1)低酸素脳症生存例と死亡例とも内頚静脈血酸素飽和度は正常値に対して高値。ラクテートは、動脈血・静脈血のいづれにおいても死亡例で有意に高いが、脳動静脈血較差では有意差はなかった。 2)SAH手術直後の値は髄液Gluは有意に増加、低体温療法によって減少。NO2,NO3はSAH手術直後に増加、低体温療法実施中も減少しなかった。 3)外傷例で髄液中や微小透析潅流中Glu濃度と頭蓋内圧変化の間に有意な関連はみられなかった。一方、潅流液中NOx濃度は、低体温療法実施にほぼ一致した3つの頭蓋内圧の大きなピークと同時かこれらに先立って上昇が見られた。 4.考察 1)頭蓋内環境についての情報を得たい場合、今回臨床応用を試みた微小透析法は、透析膜を通過可能な物質に限定される、回収液中の濃度は潅流による希釈を受けざるを得ないなどの限界はあるが、サンプリング部位としては細胞外液分画に相当し、静脈血や髄液に優れると考えられる。 2)軽度低体温療法中の髄液Gluの減少は、興奮性神経毒性の抑制効果を反映したものであろう。酸化窒素の役割は不明であり、本研究でもGluの変化に伴って変化する例と両者の変化が一致しない場合とがあった。 3)微小透析法挿入に特に合併症は見られなかった.透析膜の安定生から約24時間という制約はあるものの、急性期の頭蓋内病態のリアルタイム・モニターとして有望であると考えられる.
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