研究課題/領域番号 |
06671541
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
高崎 眞弓 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (30094212)
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研究分担者 |
中村 禎志 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (60217859)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 術後鎮痛 / 先取り鎮痛 / Fos / フェンタニール / ブピバカイン / 硬膜外投与 / 脊髄 |
研究概要 |
手術という侵害刺激が加わる以前に、局所麻酔薬またはオピオイドを与えて侵害刺激を遮断しておくと、侵害刺激による中枢神経系のsensitizationが起こらないため術後の痛みが軽いという。この仮説には異論も多い。本研究はこの仮説を明確にしようとするものである。 基礎実験:ケタラール麻酔下にSDラットの腰部くも膜下腔ヘカテーテルを留置した。1〜2週後、ペントバルビタール麻酔下に右足底に5%ホルマリン150μgを皮下注射し、痛み刺激とした。この前後にフェンタニール、リドカイン、または両者の混合物をくも膜下腔へ注入した。ホルマリン投与2時間後にラットを潅流固定し、脊髄の腰部膨大部を50μmの厚さの凍結切片とした。Fos抗体を用いて免疫組織化学染色を施し、陽性細胞を数えた。ホルマリンの15分前にフェンタニールを、10分前にリドカインを投与しておくと、Fosの発現は用量依存性に減少した。後角のI,II層とV,VI層で著明であったが、フェンタニールはV,VI層をより強く抑制した。ホルマリンの5分後に投与してもFosの発現は減少したが、減少の程度はホルマリンの前に投与したときより少なかった。ホルマリンの60分後に投与すると、Fos発現に変化はなかった。混合物でもFosの発現は減少したが、相加効果は認められなかった。 臨床研究:1)腹式子宮摘出術を受ける90名を30名ずつ全身麻酔単独群、手術途中から硬膜外麻酔を併用した群、手術開始前から硬膜外麻酔を併用した群に分けた。手術終了直後にブピバカインとフェンタニールの混合液を5ml硬膜外へ投与し、以降2.1ml/時で連続注入した。術後の視覚痛みスコアおよびプリンスヘンリー痛みスコアは、手術開始前から硬膜外麻酔を併用した群で有意に小さかった。2)腹式子宮摘出術を受ける41名を、手術開始前フェンタニール0.2mgの硬膜外投与群と静脈内投与群に分けた。術後の鎮痛は同様に行った。痛みスコアは硬膜外投与群の方が小さかった。 Fosを指標とした基礎実験から、侵害刺敵を与える前にあらかじめフェンタニールまたはリドカインを投与しておくと、Fosの発現が強く抑制されることが明らかになった。臨床研究では、手術開始前から局所麻酔薬を用いて神経遮断を行っておくか、硬膜外腔へフェンタニールを投与しておくと、術後の痛みが軽いことが明らかになった。これらのことは、いずれも先取り鎮痛の概念を示唆するものである。
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