研究概要 |
我々は,L-タイプカルシウムチャンネル拮抗薬の脊髄くも膜下単独投与は,鎮痛作用を生じないこと,そして,モルヒネとの間に相乗作用による強力な鎮痛作用が生じることを報告した(Anesthesiology,79,1993).また,リドカインやテトラカインの局所麻酔薬による脊椎麻酔作用は,L-タイプカルシウムチャンネル拮抗薬,ベラパミールのくも膜下同時投与により,相乗的に麻酔作用が増強しかつ延長することを示した(Anesth.Analg.,80,1995). 引き続き,N-タイプカルシウムチャンネルの脊髄鎮痛における役割を研究するため,ω-conotoxin BVIA(ω-CgTx,N-タイプカルシウムチャンネル拮抗薬)の脊髄くも膜下投与による鎮痛作用およびオピエイトとの相互作用を検討している.現在まで,ω-CgTxの脊髄くも膜下投与は,dose-dependentおよびtime-dependentに,輻射熱および機械的侵害刺激に対し,抗侵害作用を示し,かつ,モルヒネの同時投与により,isobolographic analysisにおいても相乗作用を示すことが明かになってきている(Jpn.J.Physiol.,45,1995).現在のところ,オピエイトサブタイプ(μ,δ,χ)とN-タイプカルシウムチャンネル拮抗薬との相互作用について検討中である.
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