研究課題/領域番号 |
06671561
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 真也 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (80221240)
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研究分担者 |
飴田 要 北海道大学, 医学部, 助手 (60271657)
信野 祐一郎 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (70216232)
柿崎 秀宏 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (10241324)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 骨盤外科手術 / 膀胱機能 / 尿道機能 / 排尿障害 / 尿失禁 / ウロダイナミクス / 膀胱機能障害 / 尿道機能障害 |
研究概要 |
1.根治的前立腺全摘除術後の蓄尿機能を検討すると術直後には全例に認められた尿失禁は術後しだいに回復を示し、術後3及び12カ月の尿禁制率はそれぞれ45%、85%であった。ウロダイナミクス的には尿道機能は平均術後3カ月で回復を示したのに対し、膀胱コンプライアンスの回復は遅れ、術後12カ月でも術前値に劣った。尿禁制回復時期とウロダイナミクス検査所見の関係を検討すると、尿禁制の回復には第一に最大尿道閉鎖圧の回復が、ついで膀胱コンプライアンスの改善が関与していた。また尿道除神経過敏反応の推移は本手術が遠位尿道α交感神経系に何らかの影響を及ぼしている可能性を示唆した。2.膀胱全摘術後の代用膀胱(urethral Mainz pouch)作成例を対象に術後の蓄尿機能を検討した。術後平均観察期間16カ月で、約80%の患者が昼間、夜間の尿禁制を回復した。ただし夜間尿禁制は平均1.8回の夜間排尿により維持されていた。尿禁制獲得群と尿失禁残存群を比較すると、後者でパウチ波状収縮波の高値、術後最大尿道閉鎖圧の低値、パウチ容量および収縮波に伴う外尿道括約筋活動電位発射頻度増加率の低下が認められ、これらウロダイナミクス的要因の術後尿失禁残存に対する関与が示唆された。3.直腸癌根治術後の下部尿路機能を骨盤神経温存群と非温存群に分けて検討した。温存群は非温存群に比べ、蓄尿知覚、最大尿流量率と残尿量から判定した排尿効率、膀胱コンプライアンス、膀胱除神経過敏反応陽性率などの点で良好な結果を示した。術後約6カ月での排尿正常化率は温存群と非温存群でそれぞれ100%、31%であった。非温存群で排尿機能が経過中回復を示した例を検討すると、機能回復とともに上記のパラメーターも改善する傾向にあり、特に膀胱知覚は排尿効率の改善に先立って正常化する傾向が認められた。4.直腸癌根治術後、長期的(1年以上)に中等度以上の排出障害が残存した症例を対象にウロダイナミクス検査所見を検討した。排尿筋過反射、膀胱除神経過敏反応、外尿道括約筋弛緩不全、尿道除神経過敏反応をそれぞれ56%、68%、67%、78%に認め、膀胱機能障害のみならず尿道機能障害もかなりの例で排出障害に関与していることが示唆された。このような症例に対して尿道の器質的かつ機能的通過障害を取り除く目的で根治的経尿道的前立腺切除術(radical TURP)が施行され良好な成績を得たことから、直腸癌根治術後に残存する排出障害に対してradical TURPは有効な治療法であると判断された。
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