研究概要 |
腎異種移植の手技は困難を極め,結局免疫動態を調べるには至らず,従来我々が行っていたallotr ansplantでのDSG(15-Deoxyspergualin)短期投与モデルを用いて免疫動態の検討を行った。DSGは4mg/kg/dayを移植後4日間投与した。移植腎を病理学的に検討するとDSGの投与に関わらず移植腎浸潤細胞の程度に差は認められなかった。そこでDNA nick end labelingを用いてapoptosisの検討を行った所,renal tubular cellはDSG投与群によく増殖し,またapoptotic cell deathを免れていた。更に皮膚移植にて移植後2週目以後はdonor specific toleranceが誘導されており,このことはin vitroでもMLRを用いて同様なdonor specific suppressor functionを確認した。移植腎浸潤細胞を用いてflow cytometric analysisを行った所,移植後1週目ではDSGの投与の有無に関わらず移植腎浸潤細胞のpopulationには差を認めなかったが2週目ではCD8およびIL-2R陽性細胞は徐々に減少していた。即ち,移植1週目の段階では移植腎浸潤細胞はTolerance誘導には直接には関与しておらずこの時期には別の作用機序が考えられるが,2週目ではcytotoxic T cellおよびactivated lymphcyteが減少し急性拒絶反応からの回復機転を示しているものと考えられた。また,移植後1週,2週目の血清および脾細胞を抽出しMLRに添加した所,2週目まで脾細胞にはsuppressor effectは無く,むしろ血清中にnon-specificな抑制活性を認めた。
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